突然いなくなった彼を探していた。私に何も言わずに行ったのだから、どこかといっても近くにいるだろうとたかをくくっていた(実際近場にはいたのだが)。しかしなかなか見つからなくて、もしや何かあったのではないかと心配をし始めたところで、漸く見つけることが出来た。いや、見つかるところに出てきてくれただけかもしれないけれど。


「心配したんだけど」
「すまない」


あまりにも気に食わないのと、自分が若干泣きそうだったので、彼を後ろからどついた。そのまま腕を回して抱きしめる。ぎゅうう、と腕に力を込めると、彼は少し笑って「痛いぞ」と言った。
最近の彼は体調も良くないようだし、私たちの活動は活発。追手もいる。万が一だって考えられなくはない。だから勝手にいなくならないでほしかった。正直、死ぬほど心配した。


「ばか」
「すまない」
「ばかばかばか」
「泣いているのか」
「泣いてません」
「顔、見せてみろ」
「嫌です」


私の力の抜けた腕をそっと解くと、彼は私と向き合った。泣いてるじゃないか、と笑うのだ、イタチは。その笑顔を見て、涙があふれた。死ぬほど心配したのだから、少しくらい我儘言わせてよ。




いなくならないで。




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