ソファーの上に体育座り。スプーンをくわえたまま、アイスが食べごろになるのを待っている。まだ冷たい。もうちょっと柔らかくなってから。
テレビに映っている彼はにこにこにこにこにこにこにこにこ、愛想笑いを振りまいている。いらつくなぁ、あの顔。私には絶対向けてくれない顔。でもよく考えたら、あんな顔向けられただけで鳥肌ものだな。


『一緒にいて安らげる人』


話題は好きな女の子のタイプ、だったかな。Wの答えはそれだった。私でないことは確かだな、と思った。私といると安らぐと言うよりははしゃいでるもん、Wは。
がちゃがちゃ、ばたん。お、噂をすれば。自分の番組を見られているの、嫌みたいなんだよな。消そう、と思ってチャンネルを取り落とした。やば。


「お、おかえり…」
「何見てるんだよ」


部屋に入ってきた途端、心底嫌そうな顔でこちらを見やるW。やっぱり、私に向けるのはあんな笑顔ではないな。私の隣、ソファーに腰かけてきたWは、落ちたリモコンを拾って、テレビを消した。とたんに静かになったリビング。彼のため息が聞こえる。


「…どこまで見た?」
「好きな女の子のタイプ、の辺」
「ああ…」


ばつが悪いと言った様子で視線をどこかへやると、あんな質問の答えは適当だとか、俺のイメージを壊すわけにはいかないだろとか、なんか言い訳をし始めた。別にそんなの聞いてないよ、と言うと、聞けよ、と頭を叩かれた(いたい)


「じゃあホントの好みのタイプ、違うの?」
「いや、別にそういうわけじゃねぇけど」
「え、なにそれ。じゃあ何で言い訳したの」
「俺は疲れてんだ。風呂借りるからな」
「何話反らしてんの」


ソファーから立ちあがった彼の服を掴み、じっと見つめると、Wはもう一度ため息をつく。そのまま私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。仕事で疲れてんのに、何でここに帰ってきてんのかわかんねぇの?なんて。


「お前のことに決まってんだろ」


そのまま、ちゅ、と軽いキス。目を瞑る暇なんてくれない。…不意打ち過ぎるよね。さっと離れて、そそくさと風呂に向かうWに、残された私。アイス、溶けすぎちゃった。




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