「起きやがれっ!!」


がばあっ、と掛け布団を剥がされる。あまりの大声となんやかんやで、心地良い睡眠から私の意識は急浮上した。霞む視界、ぱちくりと目を凝らせば、目の前にいたのはWくんだった。一寸置いて、私の口から零れる悲鳴。両手で耳を覆うWくん。


「Wくんなんでここに!?ていうかどうやって入ってきた!?」
「鍵あいてたっつーの!!!無用心にも程があんだろ!!ふざけてんのか!」
「えええマジで!?ちょ、泥棒入ってたらどうしよう!」
「泥棒よりテメェの身を心配しろ!!!」


怒鳴るWくん。どうやら私、昨日呑んで帰ってきて、鍵しめないでお昼過ぎまで寝てたらしいのです。かっこよすぎだよね。ただ目の前の少年にはしこたま怒られました。えーんと言いながら布団の上を這い彼に引っ付くと、彼は至極うっとうしそうに表情を歪め、私の脳天へと鋭いチョップを炸裂させた。


「このきったねェ部屋の片付けすんだからテメェもとっとと身支度整えろ」
「わーいWくんやさしー!」
「テメェも手伝えっつってんだよ!早くしないと襲うぞ!!」


部屋に散らばった私の服、仕事で使った資料の紙束、床に足の踏み場が見当たらない。Wくんは服を乱暴に拾って洗濯機に投げ入れる作業を始めた。私はそんなWくんを見てにやにやしていた。だって、自分から「襲うぞ」なんて毒づいておいて、あんなに真っ赤になってるんだもの!なんて可愛いんでしょう!


「Wくーん!うふふふ!」
「き、気持ち悪ィ笑い方してんなよな…!」
「あれー?早くしないと襲うんじゃないのー?襲ってこないのー??」
「襲うか!!!テメェみたいなの好みじゃねーんだよ俺は…!」
「えぇ…それは残念。私はWくん、素敵だと思ってたけど、そっかぁ…Wくん私はダメかぁ」
「え、はぁ!?」


うう、と唸って両手で顔を覆うと、手に持っていた服をばさりと落として狼狽えてるWくんが見えた。悪い年上でごめんなさい。年下をからかって遊んでごめんなさい。


「オ、オイ、ナマエ、」
「Wくん私の事見捨てないで〜しくしく」
「……悪かったマジで、好みじゃねーとか嘘だ、」
「…ほんと?じゃあ好み?」
「あ、ああ!好みだ!」
「それは嘘じゃないよねぇ〜?????」
「!?テメェ…!嘘泣きかよっ!!」


そしてまたWくんは真っ赤になった。




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