十代の手、好き。えろい。
ナマエはそう言って俺の手を取った。指を一本一本確かめるようになぞったり、出っ張った骨のところを指で触ってみたり…丹念に観察、というか、その感触を確かめている、というか。…そんなことはどうでもいい。
実に心臓に悪い。
いつものように床にカードを広げて、座って、彼女も隣に座って。彼女がいきなり雪崩れるようにのしかかってきて、俺の手を触りだすものだから、…所謂、彼女が俺を押し倒してるような、感じにも、みえなくも、ないというか、
「あの、ナマエ」
「ん?」
「上…どいてほしい、かな」
「あ!ごめん、重かったよね」
そういうことじゃなくて、これ以上は俺が耐えられなかっただけなんだ。とは言わないけれど、俺の手を触りまくっていた彼女は、予想以上に不満そうな顔をしていた。
「十代の手、…好きなんだけど」
「おう」
「さ、触るのよりも」
触られた方が、好きみたい。視線を泳がせ、最後に俺を見つめた彼女はそう言った。