「つまんない」
「えっ?」
「私帰る」
「ええっ!?」


トントン、とデッキを整えてデッキケースにしまう。はぁ、つまらない。勉強にはなったけど、勉強をずっとしてるのも飽きるでしょ。適度にやるものだよ、勉強というものは。
というよりも、十代が強すぎてデュエルに勝てない。だから負けっぱなしなわけ。勝てれば話は違うけど、私が勝てるわけがない。いつものレッド寮、十代の部屋。休みの日にわざわざ彼女が部屋に来てるのに、一日中デュエルって。私が帰り支度をし出すと、十代がものすごく慌てはじめた。


「俺は楽しいんだけど!」
「私はつまらない」
「ちょっと待って!」
「吹雪先輩に甘やかしてもらいに行くから、じゃあね」


負けっぱなしで多少なりとも傷ついた私は、吹雪先輩のところへ遊びに行こうと思った。デュエルは、あの人にも勝てるわけがないけれど、あの人は優しい。とても甘やかしてくれる。それは女子に人気なわけですよ。
私の言葉を聞いた十代は、なるほど!と何か閃いたような仕草をした。と同時に、私を後ろから抱きしめてきた。私より少し高い程度の身長なので、私の耳あたりに十代の顔がきて、実に心臓に悪い。


「甘やかしてほしかったんだな、ナマエは」
「…あながち間違っちゃいないけど」
「ははっ、顔真っ赤」


じゃあ、デュエルはおしまい。俺がいっぱい甘やかしてやる!と十代は言った。私はなんて単純なんだろうか…これくらいのことで機嫌が良くなるなんて。はぁ、とため息をついてゆっくり十代に向き直ると、間髪入れずに口付けられた。


「実は結構我慢してたんだぜ?」
「ばか」




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