4.5


「お前がカイザーの彼女か!俺、遊城十代!お前デュエルすっげー強いんだろ!?なぁ、デュエルしようぜ!!」
「ちょ、ちょっとアニキ!いきなり失礼っすよ…あ、ボク、丸藤翔です。お兄さんがお世話になってます」
「今更、俺様の名を知らない訳はないだろうが…万丈目準。万丈目さんと呼べ。」
「ラーイエローのティラノ剣山だドン!!よろしくお願いするザウルス!!」


放課後突然、端末で明日香にデュエル場に来てほしいと呼び出された。そういえば以前リベンジマッチの約束をしていたし、その件かと思いデッキとデュエルディスクを持って向かってみれば、そこに居たのは明日香、そして遊城十代御一行であった。どういうことかと彼女に目配せすれば、彼女は苦笑いしていた。


「ごめんなさい…亮から貴方のこと、頼まれて。彼らがどうしても貴方に会いたいって言って聞かないものだから」
「いえ、構わないわ。妃真琴よ、よろしく」
「挨拶なんていいからさっ!早く!デュエル、デュエル!!」
「ちょっと、遊城君、…」
「十代でいいって、ほら!エンプレスのデュエル、俺にも見せてくれよ!ワクワクしてきたー!」
「そんないいものじゃないってば、」


彼らに引き摺られレーンに立ち、代わる代わるデュエルをさせられる羽目になった。全員と闘って、全戦全勝、ただ十代には再戦を挑まれ、負けてしまったが。そうして日が暮れるまでデュエルに明け暮れ、全員揃って夕食を食べ逃してしまう羽目になり…私は入学してから初めてレッド寮に足を踏み入れた。といっても、万丈目君が増設したという綺麗な設備の方だけれど。特別だぞ、と万丈目君が全員に用意してくれたのは、カップ麺だった。十代や翔君は飛び上がるほど喜んでいた。…こんなに大勢の、…友達、同士で輪になって話をしながらカップ麺を食べる…という経験をしたことは、今までなかった。そう呟くと、皆は大袈裟なほどに驚いていた。


「まぁ、実際声掛けづらいしな、真琴。」
「十代。貴様言葉を選ばんか」
「だぁってよー、ずっとカイザーとべったりだったし、なんか話しかけられないオーラっていうか、翔、何て言うんだ?そういうの」
「高嶺の花ってやつっすね、アニキ」
「ああ、そうそう、それ。カイザーだってさ、全然真琴に近寄らせてくれないし」
「真琴が大事だったのよ、亮は」
「…私、大勢で騒ぐの、苦手だって言ったからね」
「えっ、真琴先輩、今もしんどいザウルス?」
「ううん、大丈夫よ剣山君。ごめんね、気を遣わせて」


彼らは私の存在をすんなりと受け入れてくれた。元々ワイワイ騒ぐのは、やっぱり苦手なのかもしれないけれど、彼らといるのは心地が良かった。明日香を見遣れば、微笑みを返される。これも全て、彼が用意してくれた私の居場所だ。私の孤独を、徹底的に拭ってくれた彼に、今は心から感謝をしている。


「しかし、本当にデュエルが強いな、真琴。女帝の名に違わぬ実力だった」
「…たまたまよ。本当に、誰が言い始めたのかしらね」
「そう?真琴にピッタリだと思うけど。」
「オベリスクブルーの女王も、貴方にピッタリね。明日香?」
「…次こそ攻略するんだから!」
「お、明日香が熱くなってるぜ!」


夜も遅くなってきたのに、こうして皆で大声出して、盛り上がって。そんな事をしているうちに、…無性に彼に会いたくなってしまった。今夜、連絡をしてみよう。彼はまだ起きているだろうか。


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