「レイ、ごめんレイ、私達、クラウドを…!!」
「ティファ、落ち着いて。手当しよう。ほら、バレットもこっち座って」
「ああ…悪いな。」


伍番魔晄炉爆破作戦を無事終え、怪我をしたティファとバレット、それからビッグスがセブンスヘブンへと戻ってきた。クラウドは、あの中継の後、魔晄炉を離脱する際に彼らと別れてしまったらしい。…クラウドに、私の嫌な予感はよく当たる、と言われたことを思い出す。彼は、クラウドは、無事なんだろうか。…あの彼が、もう私を離さないと言った彼が私を置いていく筈がない。そう、信じることしか出来なかった。…今はティファ達がこうして帰ってきてくれたことを喜ぶべきだと、自分に言い聞かせる。


「クラウドは、そんなにすぐやられる人じゃないでしょ。そのうち帰ってくる」
「…そう、だよね、でも、」
「ふふ、でももだってもない。大丈夫、大丈夫」


ティファの怪我を手当し、部屋まで送る。申し訳なさそうに眉を下げたティファの頬を撫で、ベッドに寝かせる。私の掌の温度に幾らか安堵の様子を見せたティファは、やっぱりレイは私のヒーローだわ、と呟いて瞼を閉じた。おやすみと小さく挨拶の後、自分の部屋へと戻る。冷たいベッドに横たわり一息付きつつも、閉ざされたドアを無意識に見つめている自分がいた。…すぐに帰ってくる筈だ。疲れた、と言って溜息をつきながら。そんな彼の姿を思い描きながら、その日は目を閉じたのだった。


「リユニオン…」


───誰かの声が聞こえる。この声は、以前の…彼だろうか。暗闇の中、何処からか響く声は、以前のものとは違う、冷たい声だった。私の記憶に居る、貴方は一体誰なの。私に、何を伝えたいの。そう問いたくも、私の声は出ない。…いつも、同じだ。


「私を、忘れるな。」


…朝、目を覚ましても、隣に彼は居ない。先日まで一人で寝ていた筈のベッドが、やけに広く感じてしまった。ティファやバレットの意気消沈したあの様子を見て、もしかして本当に、…等と脳裏を過ったけれど、私だけは彼の最悪の事態など、想定しない。そんな思いで今日も一日、店の手伝いをしていた。彼と過ごした時間は僅かなのに、こんなにも彼のことばかり考えて…すっかり胸中を奪われている。彼の身が危険に晒されているからというだけではない、これも以前から彼との絆があった証拠なのだろうか。


「レイ、少し手伝ってほしいの。」
「?どうしたの、ティファ」
「あのね…ドレスを、その。着るの手伝ってもらっていい?後ろ…」


その日、ティファ達はすぐにまた一日かけて作戦会議をしていた。夜になり、やっと解散したかと思えばティファの部屋へと呼ばれる。帰ってきたばかりだというのに、これからティファはとある場所に潜入しなくてはいけないらしい。何もこんなすぐに出かけなくても…そう呟くと、ティファは首を横に振った。時間がないの、と。
どうやら昨日からこの七番街スラムに、バレットの居場所を突き止めようとしている集団がちらほらと姿を見せているらしいのだ。身元を辿れば、六番街スラム、ウォールマーケットで圧倒的な権力を持つというドン・コルネオ…その部下であることが判明したという。何故彼らが、バレットを追うのか。その目的を探る為、コルネオに接触する。女一人ではあまりに危険だ、しかしそうするしか方法がないのだと言われれば、黙って彼女を見送らざるを得ない。…そうしてティファは鮮やかな青のドレスを纏うのだった。


「…少し、セクシーすぎない?」
「こういうのが好きなんだって、コルネオ。」
「変態じゃない…、気を付けてよ、ほんと」
「任せて。私、そこらの男よりずっと強いから。あ、このドレス、レイにも似合いそう。」
「ちょっと…私は真面目に心配してるのに」
「ふふっ、怒った顔、可愛いね?」
「ティファ!!」


任せて。意気込んだティファは迎えに来たチョコボ車に乗り、六番街スラム、ウォール・マーケットへと向かっていった。



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