クラウドに抱きかかえられたまま、ヘリポートへと向かう。セフィロスは、プレジデント神羅をクラウド達の目の前で、葬ったようだ。バレット達アバランチが仇としてきた神羅カンパニーのトップを、こうも簡単に。とはいえ、今はそうも言っていられない。私は漸く仲間達と合流し、後はヘリにて脱出を…するだけの筈、だったのだが。
やってきたのは本家アバランチのヘリではなく、神羅のヘリであった。そこから現れ出たのは、神羅兵を複数従えた、いかにも神羅の重役といった風貌の男。ルーファウス神羅、プレジデントの息子で、神羅カンパニーの副社長であるとバレットが教えてくれた。身に纏う白いスーツは、実に闇夜に栄える。
ルーファウスは此方を一瞥し、ふと、私に目を止めた。風に揺蕩う銀の髪、ソルジャーの証である魔晄の瞳、此処まで隠してきたそれらは今や晒されている。まさか、レイリアか。そう呟いたルーファウス。…遂に、神羅に私という存在が認知されてしまった瞬間だった。あの様子、彼は私のことを知っている。クラウドと私を残し、仲間達には先にこの場から撤退するよう指示する。エアリスのこと、お願い。そうバレットに託した。恐らく、ただでは帰してくれないだろうから。


「久しいな、レイリア。…またこうして此処へ戻ってくるとは。どうだ、今度こそ私の下で働くというのは?お前を手に入れる為ならば、幾らでも特別に計らうつもりだが。」
「……。」
「…フ、相も変わらず。…その連れは、ソルジャーらしいな。となれば、私はお前達の雇い主だ。」
「…元、ソルジャーだ。世話になったな。」
「ほう…」


クラウドの腕を離れ、私達は互いに武器を構える。一人も逃がすな。そうルーファウスに指示された兵士は去っていく仲間達を追うべく動いた。止めようとしたところをヘリからの銃撃、妨害を受けそれを許してしまった。…ルーファウス神羅、その足元には彼に従うモンスター、神羅の軍用犬ダークネイション。頭数でいえば五分と五分、といったところだが。私を見遣り、再会の夜は二人きりが良かったものだな、とルーファウスが嘆く。眉を顰めたクラウドが、大きく踏み込みルーファウスを斬り付けた。


「すぐに終わらせる…」
「つれないな。」


その剣筋を軽くいなしたルーファウスは、大きなショットガンでクラウドを撃ち抜く。咄嗟に避けるものの、彼の背後に飛び掛かるダークネイション。思わず私が斬り込みその爪を弾く。ルーファウスの次の銃撃はダークネイションの放つサンダーに銃弾を乗せるサンダーショット、剣でガードしたクラウドは銃撃は防いだものの強烈な電撃によって身体が痺れ、行動を制限されてしまった。彼を狙う銃口を見、私はクラウドと彼の間に入り込みルーファウスの打つ追撃の弾を一発二発三発と斬り捨てる、ルーファウスは口笛を吹いた。…彼ら、思いの外連携が取れている。クラウドへ早急にダークネイションを叩くようにと耳打ち、その間ルーファウスを引き付ける為、彼へと剣を向ける。


「今になってその瞳が私へ向くとはな。奇跡と呼ぶ他あるだろうか?」
「…悪いけど、貴方と語る思い出なんてないの」
「そうか、ならば…今日を忘れられない夜にしてやろう。」
「女性に銃口を向けながらそんなこと言うなんて、流石神羅のトップクラスは違うね」
「細かいことは気にするな。」


いくら斬りかかろうと受け流されてしまい、彼に隙はない。だが、彼の銃弾も私を捕らえることはない。これではただの戯れ合いだ。苛立ちが募り、彼が銃をリロードする瞬間を狙い冷気魔法を叩き込む。氷が破裂する反動で漸く体勢を崩した彼は、横から飛び掛かるクラウドの重い一撃を避けられずまともにダメージを受けていた。視界の端に、横たわるダークネイション。…残るは彼だけだ。剣を握り直した、次の瞬間。
彼の前にスモークが撒かれた。煙に隠れる彼の姿。次いで軽い金属音。ルーファウスが手に持つ二枚のコインを指で宙に弾き上げた音だ。スモークの中でも輝くコインが弧を描き、ゆっくりと落下していく───煙が風に流れる中、彼は更にもう一丁のショットガンを取り出すと、二丁の銃弾がコインを貫いた。その銃弾は、そのまま目が眩むほどの光を放つレーザーとなってクラウドを襲う。予想だにしなかった攻撃にガードが間に合わず、大きく吹き飛ばされたクラウド。私が走り出す前に、ショットガンを地面に打ち込み、その反動で素早くクラウドの元へと寄るルーファウス。地面に俯せる彼を立ち上がらせまいとその背を足で踏み下し、後頭部にショットガンの銃口を突き付けた。私の喉が、小さく鳴る。


「ソルジャー二人を相手とは、少々骨が折れる。さて、勝負事には強いんだったか、レイリア?」
「…貴方に、その名で呼ばれたくない」
「この銃に弾が残っているか、賭けようじゃないか。まぁ、入っていなければお前達の勝ち、入っていれば…私の勝ちとなる訳だが。」
「…面白くない。私が勝ったら、さっさと帰ってくれるかしら」
「クク、…そういうところが、私の気に入る。ならお前が勝てば、私は素直にこの場を去ろう。私が勝てば、お前は私のものだ。」
「ええ。…それでいいわ」
「…今夜は眠れないと思え。」
「く、っ…、レイ…!!」
「大丈夫よ、クラウド…貴方の言う通り、私運はいい方なの。弾は入ってない」


私の言葉に一層目を細めたルーファウスは、クラウドの頭に一寸の隙間なく銃口を押し当て、その引き金を、───



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