…意気込んで出掛けたものの、七番街プレートが崩落したことが原因で、神羅ビルのあるプレートへ登る手段がこの近辺にはなかった。裏ルートを持っているかもしれないと、ウォール・マーケット、コルネオを訪ねる事になったが…彼は行方不明となっていた。コルネオの付き人をしていたという男性、レズリーの案内の元、地下下水道にあるコルネオのアジトへと向かう。大切な人をコルネオに奪われたというレズリーは、同じく大切な人を探しにいく私達に無愛想ながらも協力してくれた。

彼の居場所を探し当てたものの…結局はコルネオの飼うモンスターと戦う羽目になり、コルネオ本人はその間に取り逃してしまった。だが、アジトに保管してあった上昇用ワイヤーガンを手に入れることは出来た。私達はエアリス救出が最優先、早速上へと向かうことになった。此処でレズリーとはお別れだ。彼も、私達と同じく大切な人を取り戻すという目的を見付けられた様だから。


「レズリー、ここまで本当にありがとう。ちょっと上、行ってくる」
「…あんたに会えてよかったよ。あいつが守りたいと言う女、どんな奴なのか、気になってはいた。」
「オイ。余計なことを言うな。」
「クラウド、どうしたの?」
「何もない。」
「?…レズリー、貴方の大切な人、会えるといいね」
「ああ、…あんた達も。」
「…私は、もう間に合わないから」
「……間に合わない?」


口をついて出た私の言葉に、レズリーとクラウドが反応した。私も今自分の口から出た言葉の意味が、よく分からなかった。どうしてそんなことを言ったのか、エアリスは、まだ間に合う筈…なのに。レズリーは僅かに眉を下げると私の肩をぽんと叩き、間に合わないなんて、そんな事は無い、と言って去っていった。


「…神羅兵、沢山いる」
「俺達を探しているのかもな。」
「見付かっちゃったらどうしよう」
「さぁ、どうするかな。」
「肩慣らししたい、武器の切れ味確かめてもいい?」
「ダメだ。」


崩落したプレートをワイヤーガンで伝い、徐々に登っていく。クラウドには身を隠せと言われていたものの、結局見付かり戦闘することになってしまった。クラウドが居ればそう苦戦するものではなかったが、遂にソルジャーが戦闘に参加していた。神羅もアバランチ掃討に重きを置き始めているのかもしれない。誰かに私の存在を知られたら、きっとこの救出作戦の難易度は跳ね上がるだろう…。そうこう言っている間にも知識にない新型兵器が次々に私達を襲ってくる。…望まずとも肩慣らしには充分すぎる程だ。


「ねぇ、見て…街が…」
「うん…」


積み重なる瓦礫の山を随分と上まで登った。きっとプレートに辿り着くまであと少し。ティファの呟きに誘われ、崩れた街を見下ろす。夕焼けに照らされた、かつて私達の住んでいた街だったその場所。その面影は何処にも、感じられない。瞳に刺す太陽の光、…ああ、頭の上は本物の空だ。
どうして、こんなことになったのだろう。私の世界は、分からないことで満ちている。悲しい。人並みに、そう思っていた。しかし、どんな局面に立たされようと、いつだって私達は生きる道を探すしかない。そして今、まさに迫る命の危機。…何故ならプロペラを付け空に浮いた巨大な銃兵器、その銃口が私達を真っ直ぐに捉えているからだ。


「レイ、いける?」
「大丈夫よ。所詮は人が作った兵器だもの。人に壊せない筈ない」
「流石だな。腕は鈍っちゃいないか。」
「ふふ、そうかな。いこうティファ、クラウド。バレット、援護お願い」
「おう!!任せとけ!!」



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