ルミナ・クロスのアリーナカウンターへ。紅魔宮の宮皇を返上し、碧聖宮トーナメントへの登録完了したハセヲ。揺光はそんなハセヲをじっと見詰めて、これからも一緒に冒険とか、してくれるかい?なんて問い掛けるのだから。


「これからもよろしくな!言っとくが…アタシは一途で、しつこいぞ!」


………。揺光は去っていった。


「今回の件は俺が何とかする、…お前は俺が守る。」
「、……うん。」
「…なんだ、その顔w」


心配しなくても、俺にはメイカだけだ。ハセヲはそう言って私の顔を覗き込んでくるのだ。このっ、……!年上をからかわないでください、空いた手でハセヲの頬を軽く抓った。

ハセヲと共に、ルミナ・クロスカオスゲート付近で、パイと遭遇した。その後の進捗報告のようだ。
ひとつ、天狼から強いAIDA反応が検出された。AIDAに精神を侵食されている可能性がある。そしてもうひとつ、不正改造(チート)PCが増加、全員から微弱なAIDA反応。常軌を逸した言動がPC(ゲーム)だけでなくプレイヤー(リアル)にまで及んでいる。ということ。
天狼については予想通り、と言った所だが…チートが横行しているというのは初耳だった。最近はパイの忠告通り単独行動を控え、むやみやたらにエリアに出ていないからか、私はまだそれらしきPCを見かけていない。しかしその拡大具合はまるでインフルエンザのようだ、と。パイが言うには、AIDAサーバーでAIDAに感染したPCがいて、人から人へ感染している可能性があるという。このままでは、AIDAの感染は更に拡大していく ──

私達はサーバークローズに反対した。志乃を、救いたいと思ったから。…その考えは間違いなのだろうか。見ず知らずの人達をも、危険に晒しているという事実が沁みた。関係ない奴がどうなろうと構わないと、ハセヲなら言うかもしれない、けれど…何処か私達の知らない場所で、私達と同じ悲しみを抱える誰かがいるのかも ── と、そんな事を考えていた矢先、アトリがやってきた。明るい笑顔、どうやら具合も悪くないようだ。ルミナ・クロスにいた私達を見て、もしかして、またアリーナに参加されるんですか?と問われた。ハセヲは頷く。そう言われれば、ハセヲの主たる目的はAIDAを調査することだ、…天狼が感染したらしいAIDAが、アトリから碑文を奪ったAIDAである可能性もある。そのAIDAを討つということは、…結果的に、アトリの為にもなるかも。


「八咫さんから色々聞いたんです、…志乃さんのことも」
「…勝手に話したのかよ、アイツ」
「…まぁ、今更アトリに聞かれて悪い話じゃないけど、ね」
「わ、私っ!お二人に謝らなきゃって…!」


自分のことばかりを私達に押し付けていた。なのに、自分を支え助けてくれた。そう言って、彼女は深々と頭を下げた。私は彼女の肩へ手を添えた。もう私達は友達になった筈だ、過去のことはお互い様にしよう。私達も悪いところはあったから。
すると、顔を上げたアトリは、トーナメント、誰が出場するんですか?と。メンバーは今のところ、ハセヲと揺光のみだ。バランス的には呪紋士が ── ってこれ、なんてデジャヴ…


「トーナメント、私も出ます!」


自分の問題でもあるからハセヲチームに入れてほしい、絶対に強くなるから。アトリはハセヲに懇願したのだ。アトリは真っ直ぐにハセヲを見つめ、ハセヲは隣の私を見つめる。アトリは今、碑文を失った、一般PCに過ぎない。天狼、つまりAIDAとの接触は特に禁じられていない状態だった。…どちらにせよ、私では力になれない。それを分かっているから、だからこそハセヲは、私の様子を伺う。…でも、私は頷くしか選択肢がないのだ。それを見たハセヲはアトリに向き直り、レベルでも上げてろ、そう言った。
こうして、アトリは再びハセヲチームとして活動することになった。アトリは大喜びで、私達に手を振り、去っていった。



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