モーリー・バロウ城砦。あの時と同じ、三爪痕の傷痕よりサインハッキングを行い、私達はAIDAサーバーオペレーションフォルダへ侵入する。…触れた傷痕からは、依然同じ音がしている。私達の身体は、再びこの城壁より異空間へと転送されていった。

── 転送先はオペレーションフォルダに続く連絡通路。ここを通って上位階層を目指す。すると突然、ハセヲに腕を引かれ背へと隠された。早速のお出ましだぜ、ハセヲの呟きに呼応して見遣るそこにはAIDA、さしずめオペレーションフォルダの門番といったところか。ハセヲはスケィスのデータドレインにより早々にそれを突破する。以前目にした戦いよりも、その技術を上げている。パイやクーンと共に過ごした成果かもしれない。…ハセヲはAIDAから何かしらのデータを入手し、首を傾げていた。


「ID、コマンド入力。急いで、メイカ」
「分かってる、急かさないでよ、パイ」


サーバー情報を展開、プログラムを実行。辿り着いた上位階層にて、パイと共に転送コマンドを実行する。239から361の手順をカット、プログラム実行。そして世界には魔法陣が展開され、全てのPCの強制転送が無事実行されたのであった ── 。





メイカ。





自分の名を呼ぶ声にふと気が付く。暗闇の中、意識を取り戻すと目の前にはAIDAがいた。そして、隣にはハセヲ、彼が私の名を呼んだのだ。私達以外の姿は、此処には無かった。二人の身体は、AIDAに捕らわれ動くことが出来ずにいる。このままでは、…空間に浮遊するAIDAは、今にもその触手で私達を貫かんとしている。…万事休すか。本当に、こんな所で死地を迎えるとは思わなかった。まだ何も、私達は知らないのに。





その時。





突然、空を裂き天使が舞い降りた。そしてもう一人、地を割り兵士が出現した。彼らは一瞬のうちに、私達に迫るAIDAを一掃した。AIDAから解放され身体の自由を取り戻す、呆気に取られた私とハセヲの眼前…気付くと、彼らの背後には棺桶があった。まるで棺桶を守るように立ち塞がる。その中には、





三爪痕の、姿。





── そうして、私達は現実世界に復帰した。AIDAサーバーでの出来事は、現実世界ではたった数分の出来事だった。…オペレーションフォルダに現れたあの二人。それから、三爪痕。私とハセヲは転送される直前、間違いなく奴の姿を見た。彼らはAIDAを攻撃していた、…三爪痕とAIDAは敵対関係にある、という事なのだろうか。



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