レイヴンの@homeで待つ私に、取り急ぎハセヲからショートメールが来た。調査先のエリアで、がびとオーヴァンに遭遇し、オーヴァンもAIDAサーバー…それからG.U.の存在を知っていたようだ。そして、八咫は既に脱出手段は知っているのに黙っているんじゃないか、ということをオーヴァンから聞いたという。八咫はこのミラーサーバーから脱出する気がなかった…?


「説明してもらおうか!!どうしてオペレーションフォルダのことを黙っていた!?」
「確証が取れるまで伏せていただけだ。」


戻るなりハセヲは八咫に当たり散らした。オペレーションフォルダというのは、この世界を制御、管理するデータの事で、そこにアクセス出来ればこの世界から強制転送、つまり脱出する事が出来るらしい。その存在を、プロジェクトG.U.責任者である八咫が知らないはずがないのだ、ということ。
オペレーションフォルダに侵入する為に、三爪痕の傷、CC社の穴でありAIDAの穴でもあるこれを利用し、逆順転送しようというプログラムを、八咫は組んでいたらしい。あの傷は、いわばAIDAの作った転送装置…イレギュラーなカオスゲートだ。モーリー・バロウの城壁よりオペレーションフォルダに侵入、転送コマンドを実行するという任務で、再びハセヲ、パイ、クーンが動くことになった。


「メイカ、」
「ハセヲ?…どうしたの」
「一緒に行くぞ」


私の隣、アトリが顔を上げる。ハセヲは私に手を差し出した。迷いなくその掌を取る。彼の眼前、立ち上がり瞳を覗く。…オペレーションフォルダというのは、相当危険な場所なんだろう。そう告げている。此処はAIDAにより生成された世界であるのだ、その世界を管理する場所が、AIDAの干渉無しに突破できるとは思えない。ならば、私は戦えない。それでも彼は行こうと言った。だから、私に何か出来ることはある?そう返した。


「メイカ。此方に来て、プログラム実行の補助をお願い」
「了解、私にパイのサポートが務まるかな」


知識の蛇へと呼ばれる。私はどうやらオペレーションフォルダにて強制転送プログラムを起動するパイの補助をするらしい。どちらにせよ憑神はフィールドに二体以上出せないのだ、ハセヲ、クーンに任せ、それ以外の通常戦闘になれば私は戦力となる。
本当は、私一人でも間に合うのよ。でも、貴女に補助してもらうことで成功確率は上がる事は確か。ハセヲは貴女を連れていきたいと言った。…私は連れていくべきではないと、今でも思っている。貴女を危険な目に合わせたくないから。そう、パイは言った。だから言ったの、私の死地はハセヲの隣以外にないのだと。パイは何を言っても無駄ね、と呆れた様子で溜息をついた。そうして付け焼刃のプログラミング技術を叩き込まれ、私は三人と共にオペレーションフォルダに乗り込む準備を終えたのだった。



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