ハセヲと二手に分かれ、街で聞き込み調査を始めると、PC達は互いに身を寄せてこの異常事態について話をしていた。泣きじゃくる人も、怒りを顕わにする人も大勢いた。今、PKされると復帰しないなどという噂も聞いた、本当のところは分からないけれど…早く何とかしないといけない。
八咫よりマク・アヌ中央広場にて暴動が起こっているというショートメールが届く。急いで向かってみると、どうやらシステム管理者が一般PCに詰め寄られている状況のようだ。この現象の原因を、CC社でも突き止められていないということ。…当然だろう、私達が引き起こしたも同然なんだ。

そして、八咫から@homeへの招集がかかる。ハセヲと合流し、共に傭兵地区へと向かう途中、@homeで待つようにと指示したアトリが榊と一緒に居るところを発見した。月の樹は、ケストレルがプレイヤーの不安を煽っているとしてタウンの治安維持にあたるようだ。管理者でもないのに、こんな事態でもパニックを起こさずそんなことをしているのだから、本当に物好きな風紀委員会様だと少し呆れてしまったが…。


「結局、最後に頼れるのは榊サマ、かw」
「アトリ…どうしてここにいるの?@homeで休んでいてと言ったのに」
「…相変わらず、君達の周りは敵ばかりの様だな」


ハセヲも、流石の私も、榊はあまり好かない。大体、この事態を収束出来るのは月の樹ではないだろう。勝手に動かれて、危険な目に合われても困る。むやみやたらに動かないでほしい、そう伝えると榊は鼻で笑った。
慢心。力とは人を最も愚かにする、そう思わないか。榊は私の目を見て言った。どういう事だ、それは私や、…ハセヲのことを言いたいのか。殺気立った私を見るなり、榊はアトリに後で会おうと言い残し去っていった。


『どうしてですか、どうしてお二人はあんな言い方、』


漸く分かり合えると思ったのに。月の樹は出来ることを精一杯やろうとしてるだけなのに。わかんない、やっぱりわかんない!声は聞こえないが、きっとそう叫んでいるだろう、そうしてアトリは走っていった。…私とハセヲは思わず顔を見合わせ、溜息。



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