三爪痕の手がかりを見つけたというぴろし3からの連絡を受け、ハセヲと見に行くことになった。大きな壁面、確かに爪痕はあったのだが、三爪痕がいつ現れるかは全くもって予測不可能。ぴろし3はそこに居座り見張ることをやめないので、しょうがないとハセヲと二人でタウンに帰ってきた。

ルミナ・クロスへ行くとそこには大火がいて、早くしねぇと見失うぞ、なんて言うものだから、何かと思えばその視線の先には揺光の姿。ハセヲと私は何だか分からないまま、彼の言う通りに揺光の後を追いかけることにした。


「アンタ、何かを“使った”ね?」


路地裏に入っていく揺光を追いかけていたら、その先にいたのはエンデュランス。二人が話している様子を、物陰から盗み聞きする。今、揺光が“使った”と言ったのは、やはり憑神のことなのだろう。揺光はあれをイカサマと呼んでいるらしいが、そんな生易しいものでは決してない。一歩間違えば人の命をも脅かす力だ。イカサマをきっちり暴いてやる、そう吐き捨てて走り去っていく揺光…ハセヲはその様子を見て、笑いながらエンデュランスの前へ出ていった。憑神のことバレてるぜ。やべぇんじゃねーの、と。


「揺光はとても強い……」


エンデュランスは、ハセヲは憑神を使わなければ揺光に勝てない、と言って、そのまま去っていってしまった。無敵の宮皇、とやらが強いと言うのだから本当に強いのだろう、あの子は。後ろ髪引かれる様エンデュランスが去っていってしまった方向をぼーっと見ていると、ハセヲがいきなり私を抱き締めてきた。どうやらイライラしているようだ。ハセヲが私に触れるときは大体否定して欲しくないとき。私なら自分の絶対の味方でいてくれる、彼はそう思ってくれている。


「…気分悪ぃ」
「よしよし、元気出してね」
「子供扱いするなよ…」
「嬉しいクセに」


ハセヲの背を優しく撫でる。エンデュランスが言った通り、ハセヲは揺光に勝つ為、憑神を使うのだろうか。それとも今度こそ、…実力だけで、勝ち抜いてみせてくれるのだろうか。

何が正しくて、何が間違っているのか。

誰が正義で、誰が悪なのか。

瞼を閉じる。私は何があっても彼の傍に居る。…彼を一番に信じてあげると決めたのだから。



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