大所帯のギルドにもなると専用エリアが与えられるわけだが、それはもう立派なものだった。

── ケストレル本部。見た目はコロッセオのような大きな建物だった。PKの温床…榊や松、アトリの属する月の樹とは正反対の意向を持つ巨大ギルド。じろじろと私達を見遣る視線はどれも鋭い。それもそうか、私とハセヲはPKK、PKの敵といえる存在なのだから。

私達を出迎えてくれたのは先程別れたばかりのボルドー達だった。あら、さっきぶり、と笑い合う私達は、下手したら友達じみた関係に見えてしまうのではないかと思った。突然来てしまって私が言うのもなんだけど、大所帯のギルドマスターには、段階を踏まないと会えないんじゃないだろうか、アポ取ったり、…と思っていたら普通に会えた( ^ω^ )
ケストレルのギルドマスター・がび。ハセヲは彼の姿を見るなりいきなり啖呵を切っていたので宥めておいた(どうどう)私達は、クーンからケストレルのキーを貰ったわけだが、何故クーンがキーを持っているかといえば、なんとクーンはケストレル元副団長だったからだという。最も、ケストレルの意向に沿えないと判断し、退団したらしいのだが。
ボルドーによれば、ハセヲ達の次のトーナメント…相手は自分達だという。そこでボルドーには、がびの目の前で、ハセヲが勝ったら二度と私達に手を出さないと約束させた。


「ボルドー…勝つのか?」
「も、勿論ですよ!」


ボルドーに限らず、ケストレルの団員は“がび様との約束は絶対”らしい。負けたらケストレルを去るという条件を突きつけられ、ボルドーは焦りを見せていた。この勝負、彼女達は負けられない筈。辛い勝負になりそうだ。


「 ── ってことで、俺達が勝てば何の問題もない」


カナードへ戻り、事の経緯をシラバスとガスパーに説明するハセヲ。大まかすぎる説明に、私とクーンは苦笑いした。兎も角、ハセヲがそこらのPC相手に簡単に負けるとも思えない、私達は、今は彼を頼りに待つしかないのだ。ハセヲは最近めきめきと力を付けてきているようだし、そろそろジョブエクステンドのクエストを受けてもいい頃。ハセヲなら、きっとこの状況を打破してくれる。


「ハセヲ」
「ん?」
「信じてるからね」


私がそう言えば、ハセヲは、笑ってくれた。



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