眠れない。夜も更けてきた。何があったわけでもなく、ただ眠れないでいた。ベッドに入って目が冴えている。明日、学校。早く起きないと辛くなるのに。早く寝なきゃ、早く寝なきゃと思うのに目を閉じても全く眠れない。少し音楽でも聞いていれば眠くなるだろうと思って、小さな音で音楽を聞きはじめたが無意味だったらしい。そのうち何だか淋しくなってきた。身を起こして部屋のカーテンをそろりと開ける。月。


(……あ、)


空を、月を眺めているうちに、どうしようもなく彼に会いたくなった。いてもたってもいられなくて、傍の形態を開けてみた。夜。彼は寝てしまっているかもしれない。でも。意を決して携帯電話を耳にあてる。呼び出し音。何だか悪い気分になる。やっぱりこんな遅い時間にかけるなんて、迷惑。切ろう。携帯電話から耳を離す。


…もしもし?


あわてて携帯電話に耳をあてなおす。彼が出た。ごめんね、夜遅くに。寝てたよね?いや、今から寝るところだった。そ、っか。どうした?何かあったのか。彼の言葉を聞いて、自分が何でこんなに淋しいのか不思議に思った。震えた声で、なんにもないよと答えたが、彼は黙ったままだった。沈黙が重い。でもきらいじゃ、ない。


あのね

ああ

さびしくなってね

ああ

声、聞きたくなっちゃったの

そうか


私が一言、言うたびに、返事。嬉しくて、言葉がつまる。部屋でひとり。ベッドの上でにやけていた。彼が何か言おうとしている。携帯を持つ手を入れ替えて、再び耳にあてなおした。


俺も

うん

声、聞きたかった

うん

電話、掛けようとしてた


じゃあもう少し、待てばよかったな。と調子を上げて呟いた。空気の小さな揺れ。彼が向こうで微笑んでるのがわかった。私の声はもう震えていない。おんなじこと考えてたんだね、私たち。彼はああ、と返事をした。彼がすごく愛しくて、とにかく幸せだった。あ、なんだかねむくなってきた




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