いつだって傍にいたいしいてほしい。知らないうちに目が彼女を追っていたりする。彼女が他の男と一緒にいたり、話していたりするとなんだか胸がざわついて、苛立つ。彼女が俺に笑顔をくれると、俺はおかしくなる。苦しい、切ない、そんな気持ちでいっぱいになる。彼女が俺のものになればいいのに。四六時中俺の目の届くところにいればいいのに。俺だけを見てくれればいいのに。俺だけを、求めてくれればいいのに。


「恋だね」

「恋…?」

「え?」


ここまで言っといて、今更そこを疑問視されても全然説得力ないんだけど。むしろ恋以外の感情の、他に何が当てはまるっていうの?彼女はそう言った。そんなに想われてるその彼女は幸せものだと思うけどな。とも言った。更に、もうややこしいこと考える前に告白しなよ。結果はどうであれ、気持ちを伝えるのは大切なことだからさ。と、続けた。気持ちは口にしなければ伝わらない。それは、知ってる。男なら当たって砕けろ!わかった?目の前の彼女は得意げな表情、俺の前で腕を組んでいる。できれば、砕けたくない。砕けるくらいなら、伝えたくない。


「……でも、」

「でも?」


そいつはすごく優しくて、可愛いんだ。だから周りのヤツによくモテる。俺のことなんか、考えてないんじゃないかと思う。俺が気持ちを伝えても、一方的に押しつけるだけで彼女を困らせることになるかもしれない。俺は彼女の笑顔が好きなんだ。その笑顔を曇らせるようなことはしたくない。逃げてるだけかもしれない、でもわからないんだ。俺だけのものにしたいと思うのに、このままでいいから傍にいたいとも思う。俺はどうしたらいいんだ?


「難しいね…」

「…ああ」


目の前でうんうん唸っているナマエは、まさか自分のことを言われているなんて思っていないんだろう。気付いてほしい。でも、このまま気付かないでほしい。ナマエのことになると、俺はこんなにも臆病になるんだ。それでもやはり、このままでもいい、ナマエの傍にいれるなら、という気持ちは大きい。
未だに目の前で唸る彼女を見つめ、胸が痛くなり、自然と目を伏した。こうしている今でさえ俺の心臓が煩くなっていることに、お前は気付かないんだろう。

お前がそんな顔をしてしまうならやっぱり、仲間の一人のままでいい。だからお前を守らせてほしい。でも、それは俺の本心ではない。だって俺は今にも、お前を抱き締めたいとか思っている。




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