「売り切れ!?」


まだ人もまばらなリフレに私の声が響いた。今日はチャイムが鳴る前に授業が終わって、手に入れることのできる確率は格段に向上していた。にもかかわらず、私が手に入れ損ねたもの。それはリフレの限定10食、とろふわたまごのたんぽぽオムライス、まさにそれであった。
とろふわたまごのたんぽぽオムライスというのは、チキンライスの上にとろとろ半熟のオムレツが乗っていて、自分でオムレツを切り開くという…あの伝説のたんぽぽオムライスなのだが。限定10食、未だに私も掴みかねている幻のオムライス。因みにとろふわたまごのたんぽぽオムライスというメニューはない。オムライスを頼むと、先着10名のオムライスがソレに変わる。それ以降は通常のオムライスが出てくるのであった。
今日もダメだったか…!カウンターの前で落胆している私。に声をかけてきたエース。


「どうしたんだ、ナマエ」
「オムライスが…とろふわたまごのたんぽぽオムライスが売り切れで…」
「ああ…残念だったな」


爽やかな笑顔で、エースは言う。おい、どうでもいいと思ってるだろお前!落ち込んでる私のことなんか気にせず、エースはカウンターでパスタを注文。アサリたっぷりのボンゴレ。何よ、華麗にパスタなんか注文しちゃって!エースなんかアサリに挟まれて大怪我すればいいんだ。カウンターの前で唸っている私を、じと目で睨む店員さん。「で、何にするの。オムライス?」わかったよ、ボンゴレパスタでいいよ畜生


「よお」


テーブル席に座ると、どこからかトレーを持ってナインがやって来た。ナインもお昼らしい。「ここ座っていーよな?」私の向かいの席を指差し言った、勿論空いていたので私はどうぞと言ったわけだ。そこで驚愕したことがあった。


「ナイン、それ、もしかして…!」
「あ?…オムライスだけど?なんかあんのか」


ナインが持っていたのは、私が食べたくてたまらないとろふわたまごのたんぽぽオムライスであった!千載一遇のチャンス!私はナインに頼み込んだ。「お願いしますこれと交換してください」。ナインは首を捻ってから、「俺ボンゴレ嫌いだからやだ」と言った。


「残念だったな、諦めろ」
「諦めきれないよお!目の前にあるんだよ!?食べたいよ!お願いしますナイン様ー!」
「しつっけーぞコラァ!!」


ナインは騒ぎ立てる私を尻目にオムライスをぱくりと食べた、と見せかけて、一口分のオムライスが乗ったスプーンを私の口元に差し出した。「……食えよ、コラ」ナインが頬を染めている。


「ナイン…好き!!大好き!!」
「わ、わかったから早く食え!」
「あーんって言って?」
「調子乗んなテメェ」


はい、あーん。




結局ナインはあーんって言ってくれました。(…やっぱ、交換しよーぜ)(え!私は万々歳だけど、ナインはボンゴレ嫌いじゃないの)(うるせぇ。たまに食べたくなるんだよ。オラ、さっさとよこせ)(ナイン…)(…なんだよ)(好きだわ)(あー、もう、言うな。わかったから黙って食え)(照れてる照れてる)




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