「それくれ、それ」
「ん?これ?」
「ひとくち」
「はいはい、あーん」
「…うめぇ、今度それ食お」
「うん、そうしな」
いつも通りの食事風景。少し昼食の遅れた私がリフレに入ると、ナインに出くわした。これから昼食だということを告げると、ナインが「じゃあ一緒に食おう」、と私の後をついてきた。ナインがハンバーグで、私がオムライス。
「俺のもやる」
「ほんと」
「ほら、口開けろ」
「あー」
「…うめぇ?」
「うめぇ!」
にしし、と音がしそうなナインのご機嫌スマイル。ナインが楽しそうにしているので、嬉しそうだけど、なにか良いことあったの?と聞いてみたのだが、気にするなと言われた。
まぁいいか、ナインが幸せそうにしてると、私も幸せ。
(ナマエ狙ってる奴って意外と多いんだぞ)(誰にも渡すつもりねーけど)(あ、あそこの端の席に座ってる男、めっちゃ悔しそうにしてやがる)(見せつけてやったぜ、コラァ!)