ナインの機嫌がとてもよろしくない。私は琴線に触れないように、静かに座っていた。
ナインの部屋で、彼はベッドに寝転んでいた。どうやらイライラしている様子。空気がピリピリ、これは誰でも感じ取れる変化だ。「うぜぇ、うぜぇ」と呟いてとめどない舌打ちをしているナイン。そんな彼の傍に何故か私はいる。というか、何故私はここにいなくてはならないのか…。


「そ…そろそろ話してくれてもいいんじゃないかなっ?」
「アァ!!?」
「ひっすみません私が出すぎたことをしました!」


いたたまれずにふとこぼした言葉が彼を刺激してしまったようで、私はしぶしぶ正座しなおした(足が痺れるんですが)。寝転んでいた彼は私の一言により上体を起こしてこちらを睨んでいた、が、そのままずりずりとこちらに寄ってきて私をぎゆうっと抱きしめた。おお?どうしたというのだろうか


「あーむかつくむかつくちょーむかつく!!」
「なになに、何があった?」
「……笑わないって約束しろ」
「笑いません」


ぐでーっと私に全体重を預けながら彼はぽつぽつと話し出した(お、重い重すぎる…!)。どうやら廊下で私のことを噂している男子がいたらしい。私のことを、その、可愛いとか言っていたらしい。それを聞いて柔いガラスのハートのナインくんは、私が取られたと思って傷ついたというのでした。


「(やだ、ナインってばもしかして)」
「あーうぜー!うぜー!」
「(自分が嫉妬してることに気付いてない?)」
「うぜーぜ!コラアア!!」


ぎゆうぎゆう、と効果音が聞こえてきそうなほど強く抱きしめられて、ちょっとそろそろアバラ折れるんだけど!と思ってストップをかけた。渋々離れた彼の頭を撫でて、今度は私から抱きついた。


「…他の奴にとられてたまるかよ」
「(どうしようナイン可愛い)」



穴空きアンブレラ(通り抜け)




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