「好きだ、付き合ってくれ」
「おはようナインくん」
「…おう」


6組程度の候補生の私に、出会い頭に告白してくる。彼はナインくん。0組の候補生でエリート中のエリート。そんな彼は初対面のときから変わらずこんな感じだ。最初は戸惑ったが、今じゃもう慣れっこ。ナインくんの告白にも。周りの視線にも。
ナインくんは私を見かけると、近づいてきて、好きだ、付き合ってくれと言ってくる。当初、何てチャラいやつ!と印象は最悪だったが、気付いてしまった。ナインくんは私以外の女の子にこういうことを言っていない。これは時間が経って、彼を見ているうちにわかったこと。そして、私が知らず知らずのうちにナインくんを見てしまっていることにも、気付いてしまった。

私がナインくんの告白に答えずうやむやにしているのは、きっと自惚れているから。ナインくんは私だけを見ている。私だけを見てくれている。だから。
正直、私は自分自身ナインくんを本当に好きなのか、よくわからない。一途に押されているから、勘違いしているのかもしれないし。でも、彼を取られたくないと、私以外の女の子にこういうことを言ってほしくないと思うのは、私の我儘だ。私は酷い女なのだ。


「ナインくんはさ、」
「おう」
「何で私なんかに構ってくれるの?」
「…一目惚れして、ずっと好きだから」
「んー、嬉しいけど私が聞きたいのはそういうことじゃなく」
「それだけじゃ、ダメなのかよ、コラァ」


それだけではダメなのか?というより、それだけでいいのか?だったら私も、ナインくんを取られたくないという理由だけでも、いいのかな。いいの、かな。
私は彼の手を取って、ぎゅっと握った。「今まで、たくさん気持ちを伝えてくれてありがとう」そう、笑って。


「たぶん、私もナインくんのことが好きです」
「たぶん?」
「これから確信に変えていきます。それだけじゃ、ダメですか?」
「…わかった」


ならもう手加減はしねぇ、とナインくんはニヒルに笑って、私を抱きしめた。




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