「小さい頃は可愛かったよなー」
「…はぁ?」


授業の終わった教室で、ぐでーっとしながらナマエは呟いた。丁度昔の話をしていたところだ。あいつはああだったとか、そういう話をして笑っていた、それだけ。それだけ、だったのに。
彼女はいきなり言い出した。ナインの小さい頃は可愛かったと。俺の、小さい頃。…というか今はどーなんだよコラァ。と詰め寄ることもさながら、ナマエの話に耳を傾けていた。


「そういえば」
「んー?」
「私ナインに告白されたー」
「は!!!!?」


がたんっ、と席を立つ。彼女はうるっさいなー、と耳を塞いでいた。俺が?コイツに?こ…告白し、た…!?小さい頃の話なんだろうが、全然記憶にない。全くない。俺の中で黒歴史として排除されてしまったのだろうか。目の前の彼女はにまーっと笑っていた。満足そうに。


「大人になったら私と結婚するーって」
「はぁ!!!!?!?」
「えーっ覚えてないの」
「覚えてるわけねーだろコラァ!!!」


つまんなーい、とナマエは不貞腐れた。たぶん、自分は小さい頃から彼女のことが好きなのだ。それは、確か。だけど、そんなこと言ったなんて。幼いというのは恐ろしい…。
彼女は「じゃあ今はどーなの?」と聞いてきた。それはもう無邪気に。俺は何と言えばいい。好きと言えばいいのか?いや、そんなことが言えたら今こんなふうにしてない。もっとベタベタしてる。はず。


「い、…今、今は、」
「うんうん」
「おっ…」
「お?」
「お前は俺と結婚すりゃいーんだよ!!」




(ナインのそういうとこがすきだよー)(すっ好きとか軽く言うんじゃねーよ!!!)




back




×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -