「この前のテストを返す」
「うえー」
いつも通りの成績順でテストが返される。この前のテストってなんだろ、あれかな、あの防御魔法についての…てか隊長、地味にテスト多いと思うんだよね、しょっちゅうこんな騒ぎしてるもの。どうせクイーン、エース、トレイって呼ばれて、あとはまばら、最下位争いはいつも私とナイン。ちゃっかりケイトとシンク、ジャックは一抜けでさ。ずるいよ。ちらりとナインを盗み見ると、ナインもこっちを見てた。何だよ、喧嘩なら買うぞ!
「まず最初にナマエ」
「え」
「ナマエ?」
「「「ナマエー!!?」」」
「ナマエ、早く取りに来い」
私が最初に呼ばれるなんてまさかそんなこと…!?あれか、今までさりげなく0点ではなかったけど今回やっちゃった的な、それとも名前から書き忘れ的な、どちらにせよ最悪の事態だ。慌てて席を立ち転びそうになりながら隊長のところへ行くと、回答を渡される。「今回0組で唯一ナマエが満点だ、よく頑張ったな」と、頭を撫でられた。あれ。なんだろうこれ、なんかうれしい。あたまなでられた。うれしい。げんかくかしら
「あ、ありがとうございます…」
「因みにクイーンは98点だ」
「ナマエに負けたですって!?」
クイーンの顔面は蒼白だった。首をひねりながら自分の席へ戻る。何という実感のなさなのだろうか…。丸ばかりのテストを眺めていると、突然ナインに回答をひったくられた。「マジかよ…」「マジだよ…」私もナインも信じられないといった様子です。
「そんなことはどうでもいいんだよ」
「どうでもよくないよ初の快挙だよ」
「お前さっきアイツに頭撫でられて喜んでたろ」
「お父さんがいたらこんな感じなのかなと思ってしまいました」
すると勢いよくナインに頭を撫でられた(ぶっちゃけ撫でるとかいうレベルではない。ガシガシやられた)いっ、いったいなぁ!!と腕を振り払うとナインに面と向かって言われた。「易々と触られてんじゃねーよ!」と。
「ナマエに触れんのは俺だけでいーんだよ!」
「…隊長に嫉妬したの?」
「してねーよ!!」
「ナインならいくらでも触っていいのに」
「うるせぇ!!」
(ふはは、かわいーナイン嫉妬とかかわいー)(だーまーれー!!)(ナイン。回答を取りに来い。お前は赤点だ)(赤点だって!ざまーみろ!私満点!)(アイツ調子に乗りやがってマジうぜぇ!!)
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