今日はナインとお昼を食べる約束をしていたのだけど。授業が終わって、どうしてもクリスタリウムに必要な書類を取りに行かなくてはいけなくなってしまった。ナインには先に行っていて、と謝りすぐさま用事を終わらせるべく、走った。
リフレへ到着して、きょろきょろと見回すと目立つ金髪朱色マント。あ、ナインだ、と思って声をかけようとした、矢先。そのナインに話しかけている女の子たちの姿が見える。誰…?違うクラスの候補生で、少し派手目の二人組につつかれているナイン。満更じゃないようにも見えてしまう。


「ナマエ」
「……なに」

「何怒ってんだよ」

「……べつに」
「べつにじゃねーだろコラ」


なんだかもやもやした気持ちを抑えきれずに踵を返して教室を抜け、裏庭まで逃げ帰った。何だろう。ナインが他の女の子と話しているのを見るのってすごく嫌だ。ナインは私にだけ優しいし、そういう風におもってたけど…私の勘違いだったのか。まさかそんなこと…。
裏庭のベンチにうずくまる私、追いかけてきたナインが私の隣に座っている。私は少しだけ悲しかっただけなんだけど、ナインは私が怒っているものだと思っているみたいで。やたら必死に慰めてくるのはそういうことだろう。


「ったく」
「……。」

「悪かったよ」
「…理由わかってるの?」
「わかんねーけど」


そんなに追い詰めるつもりもない私は早々に理由を白状した。すると彼はとんでもなく驚いて、それから笑った。馬鹿だな、と。ナインの笑顔を見て、胸がぎゅーっとした。やっぱりナインのことが大好きだ。だから私だけの傍にいてほしいなって、あてもなく思った。




(他の女の子と仲良くしてほしくないなんて)(恋してる女の子なら誰でも思うことだよね)




back




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -