天気の良い日だったので、外で本を読むことにした。日差しがぽかぽか暖かい。闘技場へ向かう道なり、石柵に腰かけて本を開くも眠さが勝り、私はうとうとしていたところだった。そこへナインがやってきた。随分と気まずそうな面持ちをしている。何かあったのだろうか。
「こんなとこで何やってんだコラ」
「どくしょ…」
「できてねーだろ」
そう言うと、彼は私の隣に座った。あ、丁度いい高さだ。このまま少しだけ枕にさせてもらおうと、肩に寄りかかった。振り払われるかな、とも思ったけれど、意外と静かにしている。うとうと。気持ちいい。目をつぶって、あと少し
「あんま、無防備なとこ晒してんじゃねー」
「だいじょぶだよ…ナインがいるじゃん」
「…アホ」
さらりと、誰かが私の髪を梳いている。この手はナインだ。目開けなくたってまぁ、わかるよね。こんなに不器用に、壊れものに触れるみたいに、私を扱う人なんて一人しかいないや。そのくせ甘えん坊でくっついていたがる。
「ふふ、こどもみたい」
「どーいう意味だ、コラァ」
「何でもないよーだ」
砂時計を割る(私も大概人のこと言えないもんね)