小説 | ナノ


追いかけられたら逃げたくなる、それは全ての生き物に通じるんだとわたしは思う。

「つまり、わたしが逃げるのは、  しょうがないってこと ですよ!!!」

叫んで、階段から飛び降りた。後ろから怒鳴り声が聞こえてくる。
上品なあの人があれだけ叫んでいるのだから、捕まったら大変に怒られるだろうなあ。

後ろをちらりと見て、特徴的なふよふよしたあほ毛が見えなくなったのに一息つく。
と思ったら正面にはお菓子作りが上手なあのこ、我慢するつもりも無くて飛びついた。

「ベール、っちゃん!」
「うわ!?…なぁん、あんたやってん?もー驚かさんとって!」
「ベルちゃん、お茶しよ!!ローデリヒさんからお菓子もらった!」
「えーほんまぁ!?うちもちょうどええお茶おにいちゃんからもらってん!」
「やったぁ!じゃあベルちゃんとこいこー!」
「あー…それはええけど…」
「どしたの?もしかしてなんか都合悪い?」
「ええ、あなたは今から少しばかり時間の都合が合いませんね」
「えー!?だってわたしなにも用事ないよぉ?……あれ?」
「いえ、あなたは今から私のトルテを盗んだお説教です」
「あのー…後ろの人何とかしたらうちの部屋きてぇな…」
「ご協力ありがとうございました、ベル。さあ翠、行きますよ」
「あー…ベルちゃあん…」
「…さっさと来なさい、終わったらお茶にするのでしょう」
「……!!」

どこか照れたように視線をそらしたローデリヒさんはぽそりと、三人で食べるのならばもうひとつトルテを作りますあなたもお手伝いなさい、と早口でこぼした。

(んー!!ローデリヒさんのトルテ美味しい!)(ベル、あなたのお菓子も一段と美味しくなりましたね)(なあ翠、ウチ紅茶ミルクでおかわり!)



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