小説 | ナノ


20分の鍛刀を待つ間に屋敷を案内してくれるそうだ。ついでに気になっていたことも聞いてしまえ。
「ところでこんのすけ、聞きたいことがあるのですが」
「はい、何でしょうか審神者どの!このこんのすけめのわかることでしたら何なりとお聞きくださいませ!」
「この本丸の……趣のある、佇まいは、仕様ですか」


空白。

静寂。


「……台所がテクノロジーをふんだんに盛り込んだ竈であることも、純和室に見える大広間に大型スクリーンが仕込んであることも仕様でございます。しかし審神者様、この本丸がおんぼろであること、こればかりは仕様ではございません」

おい何か聞き捨てならないこと言ったぞ。

「この手狭でぼろっちい本丸には、かつて審神者がおりました。しかしその方針は苛烈非道でありました故、他本丸からの告発によって彼は職を追われました。……むしろ平穏な生活を追われました」

契約を交わしているとはいえ、化生たちを本意ならず動かし続けていたのです。それも仕方のないことでしょう、とどこか沈んだ面持ちでこんのすけは言う。

「一族郎党、更には政府のものどもにまでその呪いは及ぶかと思われました。――これは政府の高官たちの供物やら何やらでどうにか避けられましたが。まあつまり、毎回荒神と化した刀剣男士たちに供物やら神楽やら酒やらを奉納していては政府の財布ももちませんので、荒御霊になる前にその原因を取り除くこと。それが審神者様のお役目、だそうです」

そこまで言ってしまってから更に言いづらそうに、顔を背けた。……まだ何かあるってのか。

「その職務の性質上、審神者様はここにいらっしゃらないほうが多くなると思われます。ですから、この本丸を、新しいものにする必要はない、と……いうのが、政府のものの、最終的な総意でございました」

つまりなにか、どうせ新しい審神者は出張ばっかりだし面倒臭いし、リフォームせずに受け渡せばいっかー☆ってことか。

そうかそうか。

肩の荷が下りたとばかりに鍛刀の部屋へもどるこんのすけを追いながら、私はそっと式神を放った。呪うほどじゃないけど、ちょっと嫌な夢見せてやれ。具体的には毎朝目が覚めたら自分の抜け毛で枕が真っ黒系の。

***150622 説明過多。


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