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思ったよりは小さな建物だ。

「ああ審神者さま!お待ちしておりました!!」

ふかふかに出迎えられた。式神だろう、白い体毛に赤の隈取りがそれっぽい。
三和土に上がって靴を脱ぐ、それさえも待ちきれない様子で、脱ぎ終えた瞬間にはもう先導するように廊下を駆けていた。

「さあさあお急ぎください、刀剣男士が顕現の時を待っておりますよ!」

板張りの廊下を、先を行くもふもふを追いつつ歩く。鶯張りなのか古いのか、歩く度に足元が音を立てて少しばかり心許なく感じた。

「さ、こちらです!この五振りのうちよりお好きなものをお選びください!」
「……ねえ、これって契約の術式まで施してあるように見えるのだけど」
「いかにも!審神者さまが選ばれたその瞬間に契約は成立、顕現のお手間もラクラク!!でございます」
「私、契約は自分で結びます。素人の手で改編されたコードに命を預ける気にはなれません」
「し、しかし政府から審神者さまにお渡しできる刀には全てこの術式が施されておりまして…もしや本職のお方ですか」

狐は困ったように顔を歪めている。それでも、この術式を頼る気にはなれなかった。

「でしたら、少々イレギュラーな形にはなりますが、まず鍛刀のご説明をいたしましょう!本来ならばこの五振りで適性の最終試験、兼契約の予行演習とするのですが」
「適性はともかく、契約に関しては問題ありません」
「ではこちらへ、炉のある部屋…多くは鍛刀部屋と呼びますね、ご案内いたします」

鍛刀部屋と呼ばれたそこには、それなりの広さのある場所だった。炉は二口あるが、まだまだ増設できそうな余裕がある。イッポンダタラが喜び勇んで何か作ってくれそうだ。

「では審神者さま、こちらの妖精に資材をお渡しください!ひとつは各50でいいと思いますが、あなたの場合はもう一振り鍛刀していただかねばなりませんからね」
「なんかよく分からないので適当に、みんなが回してる量でお願いします」
「よろしいのですか?えー、では、550、650、650、550でいかがでしょう」
「もうそれでいいです。それじゃあ妖精さん、よろしくお願いします」

20分と三時間。
短いのを待つ間にこの建物を案内して、戻ってからまとめて迎えるそうだ。よくわからん。


***0609 まだこんのすけの名前すら出てない。


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