小説 | ナノ


本日は快晴、桜も五分咲き。
肌を撫でる風はまだ少し冷たいけど、綾部の体温と日光があればそう辛いものではない。
となりになんとなく感じる綾部の雰囲気に和みつつ(タカ丸さんのそれも癒し系だけど綾部のほうがわたしは落ち着く)、少し早めの花見と洒落込んでいた。
あったかいお茶持って来ればよかったな…でも淹れに行くのは面倒だしな…まあいいか、なんて詮無い事をぼうっと考えていたら、

「ねえねえ翠、すきー」
「…は?」
「ぼく、翠のこと、すき」
「あーそうか、今日エイプリルフールだっけ?でも綾部、そういう嘘感心しない」
「……嘘だと思ってる」
「というか冗談と思ってる」
「じゃあ翠、えっと、…きらい」

こっちを見て言う綾部はいつになく真剣そうで、冗談とはいえそこまではっきりきっぱり嫌いと言われたことに少しばかり落ち込んだ。

「って言うのは嘘」
「綾部…ちょっと落ちこんだんだけど」
「翠、ねえ知ってる?エイプリルフールって午前中しか嘘を吐いちゃいけないんだよ」
「え、そうなの?」
「そうなの。だからね、さっきの好きは本当だし、嘘って言った嫌いは嘘だから好きなんだよ」
「……おやまあ」
「おやまあ、翠。お顔が真っ赤」

四月馬鹿のばか


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