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「わり、待たせた」
そういって翠のもう片方の手を取ったのは彼女を30分近くも待たせていた霧野だった。第一声は謝罪であったが軽いもので、仮にも女の子を待たせていたとわかっているのかと少しいぶかしんだがそれはすぐに四散した。
いつもなら寒がりの彼はジャージの上にウインドブレーカーを着て、さらに手袋マフラーイヤーマフまでしっかり装備、それでも寒いと言っているのに。
今翠の手を掴んだ彼は、走ってきたのか息は荒く髪も乱して、頬は赤く染まっているけどきっと理由は寒いからではない。ウインドブレーカーは着ているけど前も閉めず羽織っているだけで、不恰好に変形したエナメルバッグからはマフラーやイヤーマフが飛び出していた。
そしてなにより、翠の手を握る指は氷のように冷えて真っ赤に染まっていた。

「そーゆーわけで、コイツ振られてないんで。」
その言葉と共に握られていた手は解けて、指を絡めあうような――所謂恋人繋ぎと呼ばれるものになった。振り向くとさっきまでの彼は苦笑しながら手を振ってくれている。翠も手を振り返してから蘭丸に声をかけた。

「蘭丸、遅いよ」
「悪い、グラウンドの調子が悪かったからその整備とかしてな。長引いた」
「ふうん、そっか。しょうがないけど…うーん、デザートにケーキね」
「あー…わかった。って寒いな、ごめんちょっと待ってくれ。着込む」
「…あの、蘭丸、さっきはありがとね。ちょっと格好よかったよ」

走って来てくれたわたしだけのヒーローの、冷え切った唇がマフラーで隠れる前に!
Merry Christmas

蘭丸蘭丸!あんな顔で男前だと全私が爆発します
お持ち帰りはご自由にどうぞ!
Merry Christmas in 2011!!
Have nice days!!

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