小説 | ナノ


かわいいかわいいあのこに、おねえちゃんって呼ばれてみたい。
それがここ最近の私の野望だ。それについて考えると顔がにやけて止まらない。

「翠さん、俺の顔に何かついてますか?」
「ううん将くん、なんでもないのよ」

理想はやっぱり将君に「翠さん、お姉ちゃんって呼ばせてください!」なんていわれることだけど、ちょっと難しいかもしれない。だってほら、将君お兄さんいるし。将君におねえちゃんって呼ばれたい私だけど、なりたいのは将君の義姉よりも将君のお嫁さんだ。功さんは格好いいけど、風祭君がいちばんすき。

「ねえねえ将君、わたし将君にお願いがあるの」
「なんですか?俺にできることですか?」
「うん、あのね、将君にしかできないことなの」
「え!」
「あのね、将君、あのね、わたしのこと、お姉ちゃんって呼んでみて?」

将君はすごく驚いた顔をして、そのあとなんだか悲しそうな顔になって「…翠姉さん、」と言ってくれた。うれしいのになんだろう、何だかとても悪いことをした気がする。
そのまま静かになってすこし、風祭君が口を開いた。

「翠、姉さんは…功兄がすき、なんですか?」
「え?…ち、ちがうよ」
「だって!俺に姉さんって呼ばせるってことは…!」
「ちが、ちがうの!それはただ、呼ばれてみたかっただけ…で、」
「…じゃあ、俺は、翠さんを、」
「わたしを?」
「一人のおんなのひと、って見ても、いい…ですか?」

自分の顔が真っ赤になるのがわかる。あんまりにも予想しないことを言われたから、声を言葉として拾うのがとってもたいへん。でも、風祭君の頬の方がもっとずっと、まるで熱があるみたいに赤いから。きっととても言い辛いことを、決死の覚悟で言ってくれたんだろうから、私もこたえなくちゃ、いけない。

「、うん…、みて、ほしい…。」
「お、俺…ばか、だから…そんなこと、いわれたら」
「わたしは将君のこと、…男の人としてみてる。」


130511
一週間後そこには姉さん将くんと呼び合う名物カップルの姿が!


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