小説 | ナノ


「ねえフィディオ、私やっぱり怖いわ…」
「大丈夫、キミはとっても綺麗だよ」
「…本当?おかしくない?」
「オレが見立てた服だよ?よく似合ってる」
そういうと翠の頬にひとつキスを落とし、さっきから鏡の前で不安げにする彼女を促した。彼女の着るスーツに合わせた靴を用意して、やっと鞄を持って玄関にやって来た翠の前に跪く。

「さ、足を出して」
「…フィディオ?」
「今日は君の特別な日なんだから、お姫様扱いくらいさせてくれよ。ね?」

半ば無理矢理靴を履かせて車へと向かった。助手席に乗せて車を進めるけど、やっぱり翠は不安らしい。さっきからそわそわ手遊びなんてして、心なしか顔色もいつもより悪いかもしれない。
―――仕方ないな。
ひとつ溜め息をついて、本当はちゃんと演出もして可能なら夜景のきれいなレストランで、なんて考えていた言葉をかけた。

「ねえ、入学して落ち着いたらさ、丸一日暇な日を作っておいてよ」
「う、うん。…でもどうして?」
「んー、ほら。そろそろ挨拶とかしたいなー、なんて」
「……え?」
「とりあえずは君のご両親かな、オレの親はもうその気みたいだったし」
「ふ、フィディオ?」
「まだわかんない?オレはいくらでも待つからさ、婚約しようよ、翠」

翠が動揺してる間に車が会場についてしまったから、真っ赤な頬に手を添えてキスで送り出してやる。

「終わった頃に迎えに来るから」
「あ、ありがと」
「いってらっしゃい、オレのプリンセス!」
一瞬でまた赤くなった翠にウインクをして車を出した。…さて、迎えに行くまでにこの頬は落ち着きを取り戻せているのかな


新しい世界へ行くきみへ!


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今日大学の入学式だったので。
このフィディオは大学生か社会人な予感

110404



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