西暦2XXX年、世界は混乱を極めていた。 とはいってもそれは裏側の話で、表向きはそれまでと同じような世界が時間を進めていた。 「隊長、A‐8番地区、異常なしです」 「そうか、ごくろうだった」 とある街の中心地に聳え立つ、天にも届こうかというほどに高いビル。 そのビルの中で今日も今日とて繰り返される上司と部下の会話。 一見すると普通の企業のようであるが、実はそうとも言えない。 「隊長、B−56番地区、異常発生です。総隊長への報告並びにα携帯許可をお願いします」 「そうか。ほんならα許可出しとくさかい、行ってきてくれる?必要やったらボクも出るよ」 「了解しました」 「隊長、A−13番地区にて緊急事態、至急α許可をお願いします」 「お前らだけじゃ無理か。おい、アイツは何処行った?ああ、またあそこか……ちょうどいい、A−13番の近くだから俺がアイツを連れていく」 「では、私は先に現場へ」 「ああ、よろしく頼む」 一般人からすれば聞き慣れない非日常的な会話。 しかし、此処にいる彼らにとってはこれが日常なのだ。 「あら、日番谷サンお久しぶりっス」 「ちょっと松本に用があってな。松本、行くぞ。お前のαも持ってきた」 「えー、隊長一人で行ってくださいよ」 「緊急だ、仕方ねえだろ」 「はいはい、じゃあまたねーゆり」 今まで非日常だと思っていた世界に一歩、足を踏み入れた瞬間。 → back |