あの日以来、市丸さんからはぱったりと連絡が来なくなった。
毎日のように来ていたメールも電話も。
漸く諦めてくれたのかとほっとするけれど、なんだか寂しいような気もする。



『なんだかなあ……』
「どうしたんだい?」
『あ、石田君』



学校の食堂で一人溜息を吐いていると、目の前に石田君が座った。
彼と会うのはあの日、彼が真っ白なピストルを手にしていたのを見た時以来だ。



「この間は驚かせてすまなかったね」
『うん……』
「もう聞いているかもしれないけれど、僕の先祖はギリアに殺されたんだ。だから僕はギリアを恨んでいる」



何も言えなかった。
いくら私が正式なメンバーでないとはいえ、ギリアの一員であることに変わりはない。



「本当なら君達ギリアなんて全滅させてやりたいくらいなんだけどね」
『……うん』
「でも、黒崎に怒られたよ」
『一護?』



苦笑いをしながら石田君は一護のことを話してくれた。
どうやら一護は高校生のころから石田君がギリアを憎んでいるということを知っていたらしい。
それでも、今のギリアに石田君のような人達を殺そうとしている人は居ないと言われたそうだ。



「彼はつくづく馬鹿だな」
『まあ、一護だからね』



彼らしいと思った。
他人を憎むなんて、それがクラスメイトなら尚更そんなことなんてできない人なのだ、黒崎一護という人は。



「だから君にも謝っておこうと思ってね」
『ありがと』
「でも君も気を付けたほうがいいよ。決して安全な仕事じゃないからね」
『それはわかってるつもり』



話はそれだけだと言って、石田君は席を立った。
一護は本当におせっかいな奴だと思ったけれど、やっぱりいい奴だ。
着信音に気づき携帯を見ると、それは任務の知らせで。
鞄に入れてあるナイフとピストルを手に、私も席を立った。


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