視線の先には神槍を構えたギン。
これで、これでいいんだ。
私だって伊達に長い間ギンと一緒に居たわけじゃない。
あのギンの顔を見れば、彼の気持ちがわかった。
彼は……ギンは藍染隊長を憎んでいる。

冷たい感触が私の身体を貫いた。
顔を上げれば目を見開いたギンの顔。
あ、ギンの瞳って綺麗だな。
そんな悠長なことを考えていると、私の身体から刀が引き抜かれた。



「ゆり……?なして……」
『ギン、私にはきっと藍染隊長は殺せない。ギンのことも殺せない。だから後はギン、に任、せ、る……』
「ゆり!しっかりしいや!」
『あり、が……と……』
「ゆり!ボクや、わかる!?」



そんなに叫ばなくても聞こえてるっての。
耳元で煩いんだよ、ギンは。



『だ……ぶ…だか……』



もう上手く喋れないや。
私はこんなに冷静なのに、この男はどれだけうろたえてるんだか。
一隊を預かる隊長がそんなんじゃ、隊士に笑われるよ。
まあ、そんなことはもう関係ないのか。



「ゆり、しっかりしてや!」



今更何を言ってんだか。
私のことはいいから、乱菊を、あの子だけは泣かせないであげて。
何より大切なんでしょう?
私はずっとあんたが好きだった。
彼女のことを大切に思っているあんたが。



『ギン……好き…だよ……』



聞こえたのかな。
私の最期の言葉。
さよなら、愛しい人。

ギンなら藍染隊長に勝てるかもしれない。
きっと何か訳があって彼に付き従っているんだと思うから。
だから、私も協力するよ。

私を、昔馴染みの私を自分の手で殺したことで藍染隊長への忠誠心を見せればいい。
そしていつか、またどこかで会えたら、その時は。


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