「霜月、そっちはどうだ?」
『藍染隊長が何者かに殺されたようです。しかし、彼の死は斬魄刀の能力による偽装ということもあり得ます』
「そうか。こっちでも少し調べてみたんだが、どうやら四十六室がおかしい。ここ最近四十六室と連絡がとれないんだ」
『四十六室と?確かあそことは特別の経路で連絡を取っていたはずでは?』
「ああ、全く反応しなくなっている。それが朽木ルキアが現世で発見された時期と重なるんだ」



点と点が繋がった瞬間だった。
犯した罪に比べ重すぎる刑、藍染隊長の死、そして四十六室の異変。
向かう先は四十六室。
零番隊の権限を持ってすれば中に入ることができる。



『警備がいない……?』



いとも容易く建物へと辿り着いた。
重厚な扉を開けると、私の目の前に広がったのは想像もしなかった光景。
全滅した四十六室。



『嘘……何これ……』
「ゆり君」



振り返ると、そこには探していた人物。
変わらない笑みを浮かべてはいるが、その瞳の奥は底知れぬ闇の色。



『藍染隊長がやったんですね』
「正確には僕一人ではないけれどね。君も知っているんだろう?」
『私は……零番隊の隊士として貴方を始末します』



藍染隊長がニヤリと笑った。
ぞくりと背筋が凍る。



「零番隊として、か。平子真子をあのようにした私への復讐ではなく?」
『一割にも満たないくらいはその意味も含んでいるのかもしれません』
「正直な子は嫌いじゃないよ。だが、君に僕は殺せない」



表情を崩すことなく藍染隊長が瞬歩で私の目の前に移動した。
そして、私の目の前は真っ暗になった。



「やっぱり来てまいましたか」
「君の忠告も無駄だったみたいだね、ギン。彼女を殺すのは私も胸が痛む。少し眠っていてもらうとするよ」
「見張っときますよ」
「頼んだよ」



せやから藍染隊長には近づくなって言うとったのに。
ボクの手は血に塗れて、もうゆりを助けることなんかできん。
この手でゆりに触れてもうたら、汚してしまいそうで怖いんや。




「ゆり、助けてやれんでごめんな」



穏やかな寝顔や。
昔はこんな顔よく見とったのになあ。
もう少しだけ、あと少しだけこうして見とってもええかな。
きっと見納めやから。

目が覚めたら、ボク達は敵同士。


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