「ゆり!ボクや、わかる!?」 そんなに叫ばなくても聞こえてるっての。 耳元で煩いんだよ、ギンは。 『だ……ぶ…だか……』 もう上手く喋れないや。 私はこんなに冷静なのに、この男はどれだけうろたえてるんだか。 一隊を預かる隊長がそんなんじゃ、隊士に笑われるよ。 まあ、そんなことはもう関係ないのか。 「ゆり、しっかりしてや!」 今更何を言ってんだか。 私のことはいいから、乱菊を、あの子だけは泣かせないであげて。 何より大切なんでしょう? 私はずっとあんたが好きだった。 彼女のことを大切に思っているあんたが。 『ギン……好き…だよ……』 聞こえたのかな。 私の最期の言葉。 さよなら、愛しい人。 → back |