上司に報告すると、やはり私は護廷の敵に回れという指示が出た。
そして聞かされたのは、どうやら今回の件の指示は四十六室から出ているらしいということと、それには藍染隊長が関係している可能性があるということ。
ルキアちゃんから力を譲渡された死神の話をしたら、使えるモノは使えと言われた。



『使える、か……』



そして翌日の朝、浦原隊長から連絡が来て黒崎一護の死神化が成功すれば彼を尸魂界に送ると伝えられた。
上司の言葉をもう一度反芻して、私は浦原隊長の元へと向かった。



「お主、霜月ゆりじゃな?」
『えっと……猫?』
「儂じゃ、四楓院夜一じゃ」
『四楓院隊長ですか!?』



浦原商店に着くと、何故だか猫に話しかけられた。
その正体が先代の二番隊隊長である四楓院隊長であることがわかると、彼女は私を店の地下へと連れて行った。



「ゆりサン、来てくれたんっスね」
『浦原隊長、私は先に尸魂界に戻ります。黒崎がこちらに来る時は私に言っていただければ協力しますから』



深く被られた帽子の下からちらりと目を覗かせて、浦原隊長はあの少年を指さした。
そこには死霸装を纏った少年の姿。
もう死神化してしまったらしい。



「アンタ……」
『私は霜月ゆり、零番隊の隊員よ。あっちに来たら貴方に協力させてもらう』



何か言いたげな少年だったけど、私はその言葉を聞かずに外に出た。
きっともう来ているはずだから。



『真兄、ごめんね』
「しゃあないやろ、仕事や」



浦原商店の外に立っていたのは真兄。
浦原隊長が連絡してあると言っていた。
きっと、彼も私の選ぶ道をわかっていたのだろう。



「気いつけや」
『ありがとう』



たった一言だった。
またね、とは言えなかった。
また会える保証なんてどこにもないということを、私も真兄もわかっていたから。
真兄は昔のように私の頭をくしゃりと撫でると、被っていた帽子を深く被りなおして私に背を向けた。



『真兄、ありがとう!』



大きな声で聞こえるように叫ぶと、私は穿界門を開けた。
護廷には上司が話を通してあるはずだ。
私は将来のために護廷の隊長職とは何たるかを学びに行く、という名目で五番隊の補佐をしに行くと。


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