授業が終わった後、久しぶりに来た学院の中を見てみようと思い、ギンには先に帰ってもらって一人でふらふらとしていた。
すると、さっき稽古中に会った阿散井君を見かけた。



『阿散井君』
「霜月三席!さっきはありがとうございます!」
『そんなに頭下げなくていいって。そっちの子はお友達?』



彼の隣に居た少女に目を向けると、その子は私を見てにっこりと笑った。
その顔を見て、一瞬言葉が出なかった。



「初めまして、ルキアといいます」
『あ……私は五番隊三席の霜月ゆり、よろしくね』
「はい!」



ルキアと名乗ったその少女は緋真さんにあまりにも似ていた。
もしかしたら彼女の妹なんじゃないかと思うほどに。



『ルキアちゃんって、出身はどこ?』
「恋次と一緒で流魂街です」
「コイツとはここに入る前からの仲なんっスよ」
『そっか……ねえ、ルキアちゃんってお姉さんとか居る?』
「姉……ですか?」
『ううん、なんでもないや。邪魔してごめんね』



恐らく覚えていないんだろう。
確か緋真さんが妹と別れたのはまだ赤子の時だと言っていたから。
とにかく早くこのことを朽木君に知らせないと、そう思って私は急いで学院を出た。



『朽木君!緋真さんの妹かもしれない!』
「どうした、そんなに慌てて」



六番隊へと飛び込んだ私は朽木君に先ほどの少女のことを話した。
緋真さんにそっくりだったこと、流魂街から来たことを。
すると、朽木君はほっとしたような表情になった。



「そうか、霊術院に居るのか」
『うん、たぶんあの子だと思うよ。ルキアちゃんって言ってた』
「ルキア、か……」



ルキアちゃんが朽木家に養子として迎え入れられたのはそれから間もなくだった。
朽木君によると、なかなか実力がある子らしく卒業すれば護廷に入れるだろうと。
緋真さんの願いをかなえることができて嬉しいのか、朽木君は私に会うといつもルキアちゃんの話をしてくれた。



「ゆり、女子が喜ぶ贈り物とは何だろうか」
『贈り物?なんでまた』
「ルキアに……進級祝いを」



よほど可愛いらしく、何かにつけて私に相談を持ちかけてくる。
彼女の話をするときの朽木君は本当に幸せそうで、そんな彼の姿を見たらきっと緋真さんも喜ぶんだろうなと嬉しくなった。


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