「ゆり君、今日は君に話があるんだ」



突然藍染隊長に呼び出された。
話がある、と改めて言われるとなんだか緊張する。
何か仕出かしただろうか、いや、特に問題はなかったはず。
そんなことを頭の中で巡らせていると、隊長の口から出たのは意外な言葉だった。



「君を三席にしようと思うんだ」
『え?』



思わず自分の耳を疑った。
確かに五番隊の三席は今空席だけれど、私なんかよりもっと適任者はいるはず。



「もちろん、君の実力を考えてのことだよ。ギンが煩いというのも理由の一つではあるけどね」
『何か……申し訳ないです』
「謝ることはないんだよ。君は机上の仕事も実践においてもとても優秀だ。受けてもらえるかな?」
『はい、私でよければ喜んで』



藍染隊長にそこまで褒められると、断るなんてできるはずもなくて。
こうして私は五番隊の三席となったのだ。



「ゆり、おめでとー!」



その日の夜、何処で聞いたのか乱菊に連れ出された。
一足遅れてギンも合流する。
私の昇格祝いという名目だけれど、結局いつもと変わらないんじゃないかとも思う。



「ゆり、これからはボクの補佐やからな?ボクの」
「ゆり、ギンがサボってたら引っ叩いていいからね」
『はいはい』



三席になったとはいえ、私の仕事はそう変わらないらしい。
一足先に副隊長へと昇格した乱菊もギンも、私が三席になったことを心から喜んでくれているみたい。
真兄がこのことを知ったら驚くだろうな。
私が三席だなんて。



「次のお祝いはボクの隊長就任祝いやからな」
「アンタが隊長?何寝ぼけてんのよ」
『ギンが隊長になったら、副隊長が可哀そうだよね』
「二人とも酷っ」



からかってはいるけれど、たぶん直にギンは隊長になると思う。
彼の実力は時々稽古をつけてもらっている私は嫌という程に知っているし、もうすぐ卍解に至るらしい。
内緒だと言ってこっそり教えてくれたんだ。



「そういえば、十一番隊の隊長が変わるみたいね」
「あのオッサン負けたんや」
『へえ〜あの隊長に勝った人が居るんだ』



また、少しづつ変わり始めた護廷。
こうやって何度も人が入れ替わって、いつか真兄達の存在は尸魂界の歴史の一部となってしまうんだろうか。
時の流れを止めることなんてできないけれど、少しだけ胸が痛くなった。


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