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「松本、最近美空の様子がおかしくないか?」



日番谷部長に呼ばれて、何かと思えば香奈の話だった。
確かに、最近の香奈はおかしい。
仕事はもちろんちゃんとやっているけれど、どこか思いつめているような…
何かあったのかと聞いてみても、何もないと返されるだけ。



「部長も気がつきました?聞いても教えてくれないんですよね〜」



飲みに誘っても断られるし、ほんとおかしな子…



『日番谷部長、一週間お休みを頂きたいのですが』

「休みか?最近忙しかったし、有給もほとんど使ってないからな。ゆっくり休め」



そんな時だった。
香奈が一週間の休暇を申請した。
今思えば、何でもっと早く気づかなかったんだろう。


休暇二日目。
私は部屋の荷物をまとめた。
元々そんなに物を置いていなかったのですぐに終わった。
あの日…女性と一緒に居るギンを見てから、一度もギンと顔を合わせていない。
わざとギンに会わないように帰宅時間を遅らせていたのだけれど。
これで…これでいいんだ。



『ギン…ごめんね』



段ボールの積み上げられた部屋の中で、静かに呟いた。
ギンも住むこのマンションに居るのは辛すぎる。
私はこの部屋を出て行くことにした。







「今日は香奈は居らんの?」

「あの子、今休暇取ってて。最近様子がおかしいのよね〜」



いつものごとくFaustとの打ち合わせ中の乱菊。
目の前にいる真子は何かを考えている。



「なァ乱菊、香奈は市丸サンと居って幸せなんよな?」

「当たり前じゃない、初恋の相手よ。今回の休暇もギンとどっか行ってんじゃないの?」



乱菊が笑いながら言ったその時だった。
二人の目に映ったのは銀髪の男。
今話題に上ったギンだった。



「これは、お二人ともお揃いで」

「ギン!アンタ香奈と旅行にでも行ってたんじゃないの!?」



ギンは首を傾げる。



「旅行?香奈の仕事が忙しくてそんなん行けへんし」



嫌な予感ほど当たるものだ。

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