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会社へと戻った二人が向かったのは上司である日番谷の元。
もちろん、今回の件を報告するためだ。



「さすがだな…あのFaustをか」

「いや〜香奈のおかげですよ!」

『私は何も…』



香奈の様子が気にかかった日番谷だったが、とりあえずは成果を上げてきた二人を労う。



「今日はお祝いだな。飯にでも行くか」

「やったー!もちろん部長の奢りですよね?」

「…ああ」



こうして三人は日番谷の奢りで食事に行くことになった。





「美空…松本はいつもこんなに飲むのか?」

『いつもよりは抑えてますね』



これでか…と呆れる日番谷の先には大量の酒をあおる乱菊。
一方の香奈はというと、いつものことなので特段気にはしていない。



「そういえば美空、どうやってあのFaustを落としたんだ?今日来たのはリーダーの平子だろ?アイツは一番難しいと聞いたが…」

『私は何もしていませんよ。ただ、向こうがウチの出した条件を気に入ってくれただけなんじゃないですかね』

「条件?」

「条件ってのは〜ウチが世話するってのですよ〜」



酔いが回ってきたのだろうか、上機嫌の乱菊が話に割り込んできた。



「ウチ?それは当たり前だろうが」

『いや、正確には“ウチの部署”で全業務をこなすってことです』

「はぁ?」



日番谷が驚くのも無理はない。
自分の部署で何もかも…衣装、CD、宣伝、ライブその他の全業務をこなすというのだ。
とてもじゃないがそんなことはできるはずがない。



「そんな条件で契約して、一体誰がやるんだ!」



思わず怒鳴り声を上げる日番谷を二人が抑える。



『大丈夫です、私と乱菊でなんとかしますから。元はといえば、この条件を提示したのは彼女ですし』



香奈は乱菊を笑顔で見る。
乱菊はそれに思わず寒気を覚える。



「いや、それはその…真じゃなくて平子さんがそれだったらいいって言うから…」







「それじゃあ、ウチと契約していただけるんですね!」

「もちろん。でも、条件が一個だけある」

「条件?」

「全部一個のとこで担当してや、衣装から何から全部。いろんなとこに分けられたら面倒臭くてしゃあないわ」

「わかりました!それなら、私と香奈で全て担当します!」

「おっ、松本サン話わかるやないか!」

「乱菊でいいですよぉ〜」

「ほんなら俺んことも真子でええで!よろしゅうな!」

「はい!」







香奈を完全に無視して、二人が決めてしまっていたのだ。

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