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「ちょっと待ってよ…アンタもしかして香奈が休暇取ったこと知らないの?」

「休暇?聞いてへん」



乱菊が何か言おうとしたその時、真子がギンに掴みかかった。



「おい!お前香奈の彼氏ちゃうんか!?」

「ちょっと待ってくださいよ平子サン。そないなこと言うたかて、ボク最近香奈に会ってへんのです。何や仕事が忙しい言うて…」



乱菊の頭に最近の香奈の様子が思い起こされる。
確かに、香奈は最近遅くまで会社に残っていることが多かった。
朝もいつもより早く出社していたようだ。



「ギン…アンタ香奈に何かした?」

「何もしてへん!絶対や!それより平子サン…」



ギンは真子のほうを向く。



「昔香奈と付き合うてたみたいですなァ?」



俯く真子。
ギンはその様子を見て笑う。



「せやけど、今は関係ないんですやろ?ボクは貴方に感謝してるんです。decideのボーカルの声、ほんまに好きやったんです。ほな、仕事がありますんで」



ギンは二人の元を去った。
向かう先は職場…ではなく自分のマンション。



「休暇?どういうことや…」



仕事を休んでいるということは、恐らく家に居るだろう。
そう思い、合鍵を使って香奈の部屋へと入る。



「何やのこれ…」



そこでギンが目にしたのは空っぽの部屋。
床の上に一枚の紙切れだけが残されていた。



―ごめんね



「嘘…やろ……………」



呆然と立ち尽くすギン。
香奈の休暇の四日目のことだった。

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