>> 2 「ちょっと待ってよ…アンタもしかして香奈が休暇取ったこと知らないの?」 「休暇?聞いてへん」 乱菊が何か言おうとしたその時、真子がギンに掴みかかった。 「おい!お前香奈の彼氏ちゃうんか!?」 「ちょっと待ってくださいよ平子サン。そないなこと言うたかて、ボク最近香奈に会ってへんのです。何や仕事が忙しい言うて…」 乱菊の頭に最近の香奈の様子が思い起こされる。 確かに、香奈は最近遅くまで会社に残っていることが多かった。 朝もいつもより早く出社していたようだ。 「ギン…アンタ香奈に何かした?」 「何もしてへん!絶対や!それより平子サン…」 ギンは真子のほうを向く。 「昔香奈と付き合うてたみたいですなァ?」 俯く真子。 ギンはその様子を見て笑う。 「せやけど、今は関係ないんですやろ?ボクは貴方に感謝してるんです。decideのボーカルの声、ほんまに好きやったんです。ほな、仕事がありますんで」 ギンは二人の元を去った。 向かう先は職場…ではなく自分のマンション。 「休暇?どういうことや…」 仕事を休んでいるということは、恐らく家に居るだろう。 そう思い、合鍵を使って香奈の部屋へと入る。 「何やのこれ…」 そこでギンが目にしたのは空っぽの部屋。 床の上に一枚の紙切れだけが残されていた。 ―ごめんね 「嘘…やろ……………」 呆然と立ち尽くすギン。 香奈の休暇の四日目のことだった。 prev//next back |