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「話いうんはそれだけですか?香奈が浮気なんてするはずありません。帰ってくれませんかね」



ボクは女を帰らせようとした。
せやけど、この女…泣き出してしもた。



「私…どうしたらいいかわからないんです…真子がずっと香奈さんのことを思っていたのは知っていました。彼女以上のボーカルなんていないっていつも言っていましたから。でも、それでも…」



今、この女何て言うた?
香奈以上のボーカル?何の話や。



「キミ…何か勘違いしてんのと違います?ボーカルやなんてそんな…」

「市丸さんは何も聞かされていないのですね。真子が学生時代に組んでいたバンドのボーカルは香奈さんですよ?」



decideのボーカルが香奈いうこと?
何や…頭がこんがらがってきた。



「…っすみません、余計なことを…」



女は逃げるように店を出て行った。
何や…ボクは香奈のこと何も知らんかったんや…



「ご免な、今日は遅くなりそうや」

『うんわかった』



思わず香奈に電話してもうた。
信じてないわけやない。
せやけど、やっぱり不安なんや。
もし本当に香奈と平子サンが昔付き合うてたんやとしたら、ボクよりはるかに長い時間を一緒に過ごしていたわけで。
よくある話やないか。
昔の恋人と再会してヨリ戻すいう話。
まだ幼かったボクとは違う。



「何やの、もう…」



額に手を当てて俯くボク。
ボクってこないに弱い男やったんやろか。
気になるんなら香奈に聞けばええだけの話やのに。



「オーナー、どうかされたんですか?」

「イヅルか。何でもないわ…ちょっと疲れただけや」



今夜は飲みにでも行こか。
一人で行くのも嫌やし、アイツでも誘お。

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テーマ「人外ファンタジー」
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