>> 2 その後も打ち合わせを続け、気がつくと日が暮れようといた。 真子はおもむろに時計に目をやる。 「もう六時やないか。そろそろ終わりにするか」 香奈も時計に目をやり、ギンと約束していたことを思い出す。 『そうですね。それでは続きはまた後日ということで』 「せや、香奈今から時間ある?飯でも行かへん?」 席を立とうとする香奈を真子が止めた。 香奈は真子のほうを見るとにっこりと微笑んだ。 『すみません、今日は先約があるので』 香奈は席を立ち、真子の元を去った。 「先約、か…」 一人残された真子も席を立ち、店を出た。 外に出た香奈が目にしたのは、高そうなスーツに身を纏うギンの姿だった。 『ギン!』 香奈が名前を呼ぶと、ギンもこちらに気づき手を振りながら歩いてきた。 「もうそろそろ終わる頃かな思うて迎えにきたんや」 『ごめんね、打ち合わせが長引いちゃって』 かまへんとにこにこしながら言うギンに 香奈も思わず頬が緩む。 「ほな、行こか」 香奈を促し、ギンは今香奈が来た方向へと歩き出す。 『どこに行くか決めてるの?』 「まあな。ボクのお気に入りの店や」 香奈もギンの横に立ち、二人は並んで歩く。 背が高くその髪の色もあり、人目を引くギン。 すれ違う人々が二人を振り返る。 今ではもうすっかりその視線にも慣れた香奈は、それを気にせずギンの隣を歩く。 それを見ていた人物にも気づかずに。 「香奈!?あれは…LUSTYのデザイナーやないか…」 その人物、真子はそっと手にしていた小箱を握り締めた。 prev//next back |