>> 2 どれくらいの時間が経っただろう。 気がつけば香奈はベッドの上で寝ていた。 『私寝ちゃったの…?』 ふと背中に温もりを感じ振り向くと、そこには寝息を立てているギンが居た。 『ギン!?』 急いでギンを起こそうとすると、香奈は自分の状況に気がついた。 『嘘…服着てない…』 必死に昨日の出来事を思い出す。 『ギンと飲んでて、何かいい雰囲気になっちゃって…』 「ん…おはよ、香奈」 漸く思い出したところでギンが目を覚ました。 『おはよ…じゃなくて、私昨日…』 「なんや、覚えとらんの?香奈可愛いかったで?」 ギンの言葉で昨日の出来事を完全に思い出し、肩を落とす香奈。 ギンはククッと笑った。 「香奈もようけ遊んどったみたいやなァ?」 『煩い!もう…』 香奈の怒った様子にも動じず、ギンは再び布団に潜り込む。 「もうちょっと寝かせてや…」 『全く…』 まだ日も昇りきっていなかったため、香奈も再び眠りについた。 「香奈、今日暇?」 日が昇り、再び起きた二人はソファーに座りコーヒーを飲んでいた。 『特に用事はないよ』 「そんならちょっと着いてきてくれへん?」 ギンの言葉に、香奈は頷く。 昨日、十数年ぶりに再会したというのに、不思議と誘いを断る気にはならなかった。 「ここや。」 ギンに連れて来られたのは、街中にあるアクセサリーショップ。 最近、若者に人気があるブランドの店だ。 『“LUSTY”?なんでこんなところに…』 香奈の問いに答えることなく、ギンは店の中へと入っていく。 「いらっしゃいませ。…ってオーナーですか。あ、香奈さんも!」 迎えた店員は昨日居酒屋で隣に座っていた修兵だった。 『オーナー?って、ここがギンの店!?』 「なんや、気付いとらんかったん?店の名前、ボクらのバンド名やのに」 そういえば…と香奈は再び店内を見る。 よく見ると、ギンが身につけているアクセサリーもこの店のものだ。 「ボクがLUSTYのデザイナーの市丸ギンや」 にっこりと笑うギンに、香奈は言葉を失った。 prev//next back |