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どれくらいの時間が経っただろう。
気がつけば香奈はベッドの上で寝ていた。



『私寝ちゃったの…?』



ふと背中に温もりを感じ振り向くと、そこには寝息を立てているギンが居た。



『ギン!?』



急いでギンを起こそうとすると、香奈は自分の状況に気がついた。



『嘘…服着てない…』



必死に昨日の出来事を思い出す。



『ギンと飲んでて、何かいい雰囲気になっちゃって…』

「ん…おはよ、香奈」



漸く思い出したところでギンが目を覚ました。



『おはよ…じゃなくて、私昨日…』

「なんや、覚えとらんの?香奈可愛いかったで?」



ギンの言葉で昨日の出来事を完全に思い出し、肩を落とす香奈。
ギンはククッと笑った。



「香奈もようけ遊んどったみたいやなァ?」

『煩い!もう…』



香奈の怒った様子にも動じず、ギンは再び布団に潜り込む。



「もうちょっと寝かせてや…」

『全く…』



まだ日も昇りきっていなかったため、香奈も再び眠りについた。

「香奈、今日暇?」



日が昇り、再び起きた二人はソファーに座りコーヒーを飲んでいた。



『特に用事はないよ』

「そんならちょっと着いてきてくれへん?」



ギンの言葉に、香奈は頷く。
昨日、十数年ぶりに再会したというのに、不思議と誘いを断る気にはならなかった。



「ここや。」



ギンに連れて来られたのは、街中にあるアクセサリーショップ。
最近、若者に人気があるブランドの店だ。



『“LUSTY”?なんでこんなところに…』



香奈の問いに答えることなく、ギンは店の中へと入っていく。



「いらっしゃいませ。…ってオーナーですか。あ、香奈さんも!」



迎えた店員は昨日居酒屋で隣に座っていた修兵だった。



『オーナー?って、ここがギンの店!?』

「なんや、気付いとらんかったん?店の名前、ボクらのバンド名やのに」



そういえば…と香奈は再び店内を見る。
よく見ると、ギンが身につけているアクセサリーもこの店のものだ。



「ボクがLUSTYのデザイナーの市丸ギンや」



にっこりと笑うギンに、香奈は言葉を失った。

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