教室の窓からぼーっと外を眺める。
お昼が終わって最初の授業は眠気との戦い。
視線の先に見えたのはオレンジの頭。



「今日はちゃんと授業受けてるんだ…」



隣のクラスの黒崎一護。
一応私の彼氏。
うん、一応は。



「月闇、他所見すんな!」



飛んできた教師からの怒声。
仕方なく目の前の教科書に目を落とすも、すぐに睡魔に襲われた。



「夜!起きなって!」



目を開けると友人の姿。
どうやら午後の授業は寝て過ごしてしまったようだ。
友人に鞄を渡され、示された先にはオレンジ頭。



「夜、帰るぞ」
「あー、うん」



校門を出ると、今度は一護に手を出された。
鞄を渡せということなのだろうか。
私は持っていた鞄を差し出す。



「今日はちゃんと授業受けてたみたいだね」



にこっと笑って言えば、一護は驚いたような顔をした。
一護のクラスの水色君と啓吾君とは中学からの知り合いで、最近一護の様子がおかしいことは聞いていたんだ。



「何言ってんだよ、これでも俺優等生なんだぜ?」
「はいはい、知ってますよー」



そんなこと言って、この前の試験も私に負けた癖に。
全く、授業抜け出して何やってるんだか。



「そうだ、ちょっと寄り道して行かねえか?」



そう言って連れて来られたのは近くの河原。
此処は確か、一護のお母さんが亡くなった場所。
草の上に座り、一護が話し始める。



「俺さ、此処でおふくろのこと守れなかったんだ」



私は何も言うことができず、黙って頷いた。



「あん時はまだ餓鬼で、何の力もなかった」
「でも今は違う?」



私の言葉に一護は驚いていた。
口をぽかんと開けた一護の顔は、すっごく間抜けで。
私は思わず声を上げて笑った。



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