隊に戻って、ボクは何時ものように仕事してた。
イヅルは他の隊に書類持ってくとか言って出てった。



「はよ夜戻って来んかなぁ…」



その時や、なんやバタバタと廊下を走る音が聞こえる。
この霊圧はイヅルか?珍しい…なんかあったんやろか。



「市丸隊長!夜さんが…!」



なんや、血相変えて。夜なら今現世やで?



「どないしたん、イヅル?」
「早く!とにかく四番隊へ!」



四番隊?夜怪我でもしたんか?そう聞いても、イヅルはとにかく早う行けとしか言うてくれへんやった。




―四番隊―



ボクが案内されたのは個室。
そこで目に入ったのは…
変わり果てた夜の姿やった。



「夜…何しとんのや?」



夜の身体はボロボロやった。
至るとこに傷がある。
ボクの大好きな月闇の顔にもや。



「夜…虚にやられたんか?」



夜はかろうじて息があるみたいやった。



「ギン…ごめんね。私…」



そう言ったっきり、夜は動かんくなった。
ボクは目の前の光景が信じられへんやった。
動かなくなった夜。
いくら名前呼んでも返事せえへん。



「夜?どないしたん?今日の夕飯何作ってくれるん?なぁ、夜…」



気付いたらイヅルと卯ノ花さんが居てた。



「市丸隊長…夜さんは亡くなられたんですよ?」



イヅルがボクになんか言うてる。
でも、ボクにはなんて言うてるのか全然わかれへんやった。



「そうや、夜!今日ボクに言わんと勝手に現世行ったやろ?お昼一人で食べてボク寂しかったんやで?」
「…市丸隊長っ!」



イヅルに頬をひっぱたかれた。
それなのになんや…全然痛うない。



「吉良副隊長…後は私が」



ボクは卯ノ花さんに連れて行かれた。
なんやの?ボクは今から部屋に戻って夜の作ったご飯食べなあかんのに。
それからどれくらい時間が経ったやろか?
一年?二年?いや…もっと経っとるかもしれへん。
あん時卯ノ花さんに部屋を連れ出されて以来、ボクは夜に会わせてもらえてへん。



「なあイヅル…夜はどこに居るんや?」
「市丸隊長…ですから、夜さんは今療養中なんです。完治するまで誰にも会わせられないと卯ノ花隊長にもいわれたでしょう?」



―イヅルside―



あの日、夜さんが亡くなってから市丸隊長はおかしくなってしまった。
卯ノ花隊長が言うには、夜さんの死を受け入れられないのだろうと。
夜さんのことは、卯ノ花隊長の計らいで生きているという風に他の隊長たちにも装ってもらっている。
三番隊では、夜さんのことは禁句だと僕が隊士たちに言ってある。
今の市丸隊長は笑わない。
いや…正確には、夜さんが居たときのようなあの優しい笑顔を見せることはなくなった。



「市丸隊長…いつになったら元に戻っていただけるのでしょうか…」



そう呟いた僕の言葉は宙に消えていった。



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