「ねえ織姫ちゃん、一護は正義のヒーローなんだよ」
「そうだよ、黒崎君は皆を守るヒーローなんだ!」



嬉しそうに言う織姫ちゃんとは対照的に、私の表情は日の沈み始めた空のようにだんだんと暗くなる。



「うん、皆を守るヒーローなんだ」



その言葉で何かに気づいたのか、織姫ちゃんはそれ以上何も言わなかった。
今の一護は強いんだと思う。
でも、その強さの所為で私だけのヒーローじゃなくなった。
最近の一護はなんだか大人になったように見えて、だんだん手の届かない場所に行っているような気がしてた。
私のちっぽけな世界だけじゃなくて、もっと大きなものを守ろうとしてるんだってなんとなくわかってた。



「いつか、戻ってきてくれるといいな」



そう呟いた私の声は、日が沈んでしまって暗くなった空に飲み込まれた。



拝啓、正義のヒーロー様。
今じゃなくていい。
今じゃなくてもいいから、いつかまた私のちっぽけな世界を守るヒーローに戻ってくれますか?
その時まで、私は貴方の帰りを待っています。



END



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