「あれ?随分としっかりした建物だな。虚圏ってこんなモンなのか?」 『一護…声が大きいんだよ』 黒腔を抜け、虚圏の中へと入った四人。 一護は辺りをきょろきょろと見渡している。 『…やべえ、逃げろ!』 夜の声を合図に四人は走り出した。 背後からは虚が追ってきている。 「夜、なんで逃げんだよ!?」 「馬鹿か君は!建物が崩れたらどうするんだ!」 「別にそれくらいいいじゃねえかよ…」 『此処は地下だ!生き埋めになりたくなかったら、さっさと外に出るんだ、わかったな?』 夜は瞬歩でその場から消えた。 「夜!?」 「黒崎、月闇さんにも何か考えがあるんだろう。とにかく今はここを抜け出さないと!」 一護たちから離れたところに移動した夜は、右手の指輪を外す。 裏側の赤い石に手を触れると、ギンを呼んだ。 『ギン、聞こえる?』 「聞こえとるよ。虚圏に来とるんやって?」 やはり、侵入者の情報は向こうにも伝わっているようだ。 「今から皆で集まるんよ。夜も来る?」 『行く』 ちょっと待っていろと言われ、夜はその場に腰を下ろした。 一護たちから離れたのは、下手に破面と戦うことになるのを避けるため。 以前虚圏に来た時に顔を合わせた者も居れば、藍染から夜のことを聞いている者も居るだろう。 一護たちは自分が居なくても無事に勝ち進む。 そのことを知っているからこそ、余計な手出しはしたくなかったのだ。 『頑張れよ…』 「あの坊やたちのこと?」 上を見上げるとギンが笑っていた。 『まあな』 「かまへんよ。ほな、行こか」 → back |